一つ前の記事では、納税者視点でのふるさと納税について書きました。
今回は逆に、国や自治体視点でふるさと網税をみるとどうなるかを書いてみることにします。たまには社会派なところも見せないとね…。
地元愛もないのに「ふるさと納税」って言われても
<国や自治体視点でのふるさと納税>
ふるさと納税のそもそもの趣旨って、ご存知ですか?
これは、人口の偏りによる自治体ごとの税収の差を、国や都市部の自治体が割を食う形で人口の少ない自治体に回そうってことだったんです。
ところが、一旦蓋を開けてみると、特産品目当ての利用者ばかりが目立ち、
「そもそも”寄附”ってなんだっけ?」
「見返りを求めるもんだっけ?」
という社会問題になってしまっています。
でも、地元愛だけでわざわざ、確定申告の面倒くささを乗り越えて寄付する人がどれほどいることでしょう?
もちろん、そう多くないことは想像に難くありません。ほとんどが、「特産品目当て」なのではないでしょうか。で申し込みの段階で、「特産品はいりません」という項目を選択した人の割合を公表してみたらどうなんですかね…。
このふるさと納税のおかげで、
確定申告が増えて、税務署は大変になります。
そして自治体も、特産品の選定や寄附の証明書の郵送など、こちらもやることが増え大変に。
「でも自治体は税収が増えるんだからいいじゃない」って思いますか?
ところが肝心の寄付されたお金の一部は、特産品を”仕入れる”ための原価に回るので、全体としての一次的な税収は減少します。
…ううん?この制度、どうなんでしょう?
もちろんメリットとして、特産品の知名度が上がるとか地場産業を奨励するようなこともあるとは思います。
でも、もともとある特産品を買ってくれてた人が、「ふるさと納税でもらえる!」ことに気が付き、こちらを利用し始めたら、総売上は変わらないことになってしまいます。
または、その地方の特産品ということで興味を持ってくれた人がいたとしても、始まりは「タダだから」選んだわけですよね?
それでその特産品のファンとなるきっかけとなり、毎年ふるさと納税以外でお金出してくれる…かなぁ。
いえ、そうなるといいとは思いますが、私にはイメージが湧きません。
ふるさと納税はなくした方がよい(個人的意見)
なので、ぶっちゃけ私は、「この制度は、なくした方が良い」
と思ってます。
決して、自分がめんどくさいから、という理由ではありません。
まぁ、そういう気持ちも多少はありますけれど。多少。
その理由は、人気のある特産品のある自治体と、無い自治体での差というももが顕著となっているからです。
人気がある特産品を持っている自治体の場合は、そもそも「地方」だと言っても、どちらかというと潤ってる側なのではないかと思っています。
さらに、ふるさと納税でアピールする特産品は、その自治体がおそらく公募か何かで選ぶのだと思われます。
確かに民間にカネが回ることになるので、
「産業奨励だ!」ということになるんでしょうが、
自治体から選ばれるような”優秀な”特産品を作ってる企業というものは、もともとその自治体の中では、儲かっている側なのではないでしょうか…?
そもそも「ふるさと」という言葉からは、地元愛みたいなのをイメージさせますが、どこにでも寄附先を選べるのであれば、あんまり「ふるさと」関係なくないですかね?
となると、この制度は納税者側から見ても、運営側から見ても、”格差”を広げる効果しかないのではないでしょうか…?
・納税者(国民)→所得格差。つまり、貧富の差。
・運営者(自治体)→地域格差、あるいはその地域内での商品格差。
とはいえ、別に私は格差があってもかまいません。それが世の中というものであれば、自分は勝てばいいだけ、いえ、勝つもりですから。
でも、なぜこんな面倒くさいことを始めたのかな、とは裏側を色々と想像してしまいます。税理士って、根が理屈っぽいんですね。
肩ひじ張ってまじめな事を書いてみたら結構疲れました。