私は、会社・個人事業の税金は、事前のセッティングが勝負だと考えています。でも、想定通りに「ぴったり」行くことはほとんどありません。
なのでそういう時は1年間じっくり”微調整”をしていくわけですが、たまにどうしようもないブレが発生することがあります。
そんなときの切り札になり得るのが「決算期変更」です。
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【決算期変更】予期せぬ利益での高い税金を回避
一般的に法人の決算は、1年(12か月)で区切られています。
「決算期変更」とはそれを、必要に応じて短くしてしまうのです。
たとえば、12か月目にドカーンと大きな利益が出る事が分かった場合には、直前の11か月で決算を区切ってしまう。するとその利益はまた次の期に繰り延べられ、あとは1年間じっくりと対策を練ることができるわけです。
【決算月を変えても良い】ことを知らない社長は結構います。
確かに何の理由もなく、毎年コロコロ変えるのは変ですし、手間もかかります。なので頻繁には使えませんが、はまると効果は抜群です。
あ、ちゃんと議事録作って届出も出しましょうね。
個人事業主の場合は、暦通りの12月で区切っての確定申告となるのため、この方法が使えないように思いますが、12月を待たずに法人成りをすることで、同じような効果を得ることができます。
ただ、法人成りは大きな変更なので、本当にそれが有利なのかと考えるべきことはたくさんあります。
決算期変更の注意点
注意点としては、例えば次のようなものが考えられます。
① 消費税の免税期間
消費税の免税事業者の場合、決算を短くすることによって、免税期間が短くなってしまう可能性があります。逆に、下期で業績が伸びて売上が1,000万円をギリギリ超えそうな場合など、決算を短くすると、免税期間が1年伸びたりできることもあります。
② 次期に有効な対策があるか
せっかく利益を次期に繰り延べても、有効な対策がない場合。先延ばしにしたはよいが、翌期もっと業績がよくなってしまった場合には、税率が高くなってしまう可能性があります。なので、時期も好調が続きそうな見込みがあるならば、税金を払っても利益をならした方が有利になる可能性があります。
③ 税理士が嫌がるかも
せっかくだからついでに、きりの良い3月決算や12月決算にしようと考える方もいますが、それは税理士が嫌がります。そういう月は人気があって、元々3・12月決算の会社が多いため、忙しいのです。他には、確定申告と申告時期がかぶる1月決算も面倒くさいですねぇ。ま、こっちの事情です。
④ 繰越欠損の期間が短くなる
法人の場合、赤字を出すとそれは9年間(平成28年10月10日現在の規定)将来の利益と相殺できます。これは経費の貯金みたいなものです。が、この期間が短くなります。でもよく考えてみれば、過去の赤字を9年も消しきれないようなら、もう事業としては終わってるでしょうから、これはあんまり気にしなくてもよいかな…。
まじめな話を書くと下手なことを書けないから疲れますね。
まぁ、どんな状況でも探せば意外と手はあるもんです。だから、とにかく「早めに」「正確な」情報を税理士と共有してくださいね。何が重要な情報かの判断は難しいですから、普段から税理士(もしくは窓口である税務担当)と仲良くして、何でも話せるようになっているのが一番です。