ある日、お客様から相談を受けました。
「仲間が資金繰りが苦しくて困っているみたい。うちに金を借りにきちゃってさ。貸さないこともないんだけど、本当に貸してもいいものか見極められないし、かといって、あんまり無碍(むげ)にもできないから相談乗ってやってよ。」
借金返済のための宝探しのお話
私はもちろん、ウェルカムです。
なんでも相談が来るのは、私のスタンスでは嬉しいのです。何か問題があって、事後に聞かされた日には、信頼関係がないことがはっきりしますから、泣きたくなりますね。
それから、私はこういう時相談料は取りません。最近はそういう士業も、多いいのではないでしょうか。たとえば弁護士の場合でも、初回相談料は無料の方が結構います。
とはいえ、無料相談の上、わざわざそのためだけにこちらから出向くのは大変なので、お客様とのミーティングに合わせ、お客様の会社にその人にも来てもらいました。
最初の印象は、「いい人そうだけど、なーんか元気ないなぁ」。
話を聞いてみると、銀行だけでなく、色々なところから借金もしています。外注費と仕入代金、それに税金の滞納もある。これでは元気がないのも納得ですね。
一般的に建設業の場合、外注や仕入先に迷惑をかけて悪いうわさが立つと事業としてはほぼ”即死”です。そうでなくても、このままでいくと1年持たないなってイメージでした。
それに、現在の担当税理士とも、ほとんどコミュニケーションを取らないらしい。
借金で悩んでいる方のパターン
事業の借金で悩んでいる方に見られる、よくあるパターンを順番に並べてみました。
① 業績が悪いのを、融資などで持ちこたえる。
② 本当にきつくなり、貯金を取り崩したりしながら最初は隠す。
③ それでもどうにもならなくなり、知人・友人等、誰かしらに金を借りる。
④ それが返せなくなり、ようやくここで表沙汰に。
でも、ここまではいいんです。業績が悪ければ、誰でもこうなる可能性はあるからです。しかしながら、③あたりから周りの評判が目に見えて悪くなり、仕事にも悪影響が出てきます。
当たり前です。仕方がありません。
でも、この方の場合、ここからがひどかった。
先に解決すべき問題点
A 金がないのに、バブル期に買ったリゾートマンションを保有。毎月の管理費2万円。
B ”おねーちゃん”のいる飲み屋にツケあり。そこまでして飲むなよ…。
C 売掛金を踏み倒されている。取り立てに行く勇気がないらしい…。
この辺はダメです。優先すべき順位がめちゃくちゃです。でも、初対面の私にも正直に話してくれる点には好感が持てます。
そもそも、お客様の頼みで張り切ってしまった私。なので、そこからみっちり1時間、毎月の生活費から、ほぼすべてのお金の出入りをヒアリングし、無理なく資金繰りを正常化できるための方法を模索することにしました。
借金返済のための短期・中期プランを組んでみる
まずは、短期と中期で資金返済プランを組みます。
短期の目標は、返済しないと”即死”となる、外注業者に支払うお金を確保すること。そして中期の目標は、業績の悪い中で生活費を回しながら、借金を返済し、さらには銀行融資にもチャレンジできる状況を作ること。
これらを実際の生活がかかった状況でプランニングしてあげるのは、なかなか”しびれる”作業です。アドレナリンが出てきます。不謹慎かもしれませんが、私はこういう仕事が好きなのです。
まさに、これこそが税理士の醍醐味です。
~つづく~