以前に、「経理を誰にやらせるべきか?」という記事を書きました。
私の個人的な意見としてはその前に、
「せめて一度は、社長自身でやってみた方がよい。」
今回はここの部分を少し掘り下げてみたいと思います。
社長が経理を経験するメリット
経理を誰に任せるのか?という選択肢としては、①自分でやる②妻(親族)に頼む③社内の他人④外注するというものがありました。
例えば、外注する場合のデメリットはこのような感じでした。
<経理を外注した場合のデメリットのおさらい>
・コストがかかる
→当たり前ですが、お金がかかります。
・時間がかかる
→資料の往復や、入力までのタイムラグ。社長がすぐ知りたい経営的な数字も、まだ出てないことも。
・手間がかかる
→通帳など現物を渡せない資料は、面倒でもコピーを取って渡すしかありません。郵送すること自体も手間ですね。
・経理が育ちにくい
→外注で事足りていると、わざわざお金をかけて経理の人を雇おうというモチベーションが発生しにくくなります。その結果、経理部だけが不自然に”貧弱なまま”残ってしまった中堅中小企業は結構あります。
ここまでは以前の記事で書いた通りです。
経験0では「効率的な経営」など考えられない
「経理は外部の人間に!」
と、割り切って外注にしてしまうことも悪くはありませんが、私は社内で完結させる方を、それも一度は、社長自身がやってみることをお勧めしています。
なにも、会社が大きくなってからも、ずっとやるべきだとは思っていません。規模が大きな経理はものすごく大変です。専門知識もなく行うことは不可能だし、社長業がおざなりになってしまうに決まっています。
でも逆を言えば、会社がまだ小さくて、”何事にもとっつきやすい時期”である場合は、一度は経理を経験してしまった方が良いと思っているのです。
その理由は、「自分で業務オペレーションを作れる」から。
中小企業の社長は、基本的に営業マンです。売上の事を普通は一番に考えていて、それは全然悪いことではありません。
でもそのせいで、経理・会計的に必要な書類を(勝手に要らないだろうと判断し)作らなかったり、その会社でもしかしたら、不必要・非効率な経理処理にも気づかなかったするかもしれません。
そうすると、自分の知らぬところで意外と事務方にしわ寄せがきていたり、社長自身としても、税理士からの会計的な質問が増えるようになってくると、(まったく分からないと)それに回答するだけで、結構ストレスとなったりもします。
経理を一通り経験し、会計の仕組みをある程度でも理解すれば、単純に数字に強くなるし、不正しにくい仕組みを考えることもできるようになります。
「社長はどうせ経理のことはわからないから…」
なんて、不正をされていたんではたまったものではありませんよね。
もちろん、我々税理士もアレコレと知恵は出しますが、ほとんどが一般論のはずです。具体的な最後の一工夫は、現場を知っている社長のアイデアにはかなうはずがありません。
まとめ
社長!
「経理はちまちましたイメージで面倒くさそう。」
「試算表や決算書を見れば十分。」
そうおっしゃる気持ちはわかりますが、営業が現場を知らないとダメなように、経理だって現場を知らないとダメじゃないですか。
せめて、一度ぐらいはチャレンジをしてみませんか?
やってみたら意外と面白い…はずですよ。