法人設立するときのツボと注意点②
前回に引き続き、会社設立のツボと注意点です。
税理士的には、初めのこういうことで躓いて失敗してると、とても残念に思ってしまいます。スタートの時点でもう負けているというか…。さぁ、続きを見ていきましょう。
Contents
法人設立時に決めることと注意点②
<決めなければならないこと>
①商号
②本店所在地
③事業目的
④資本金の額
⑤株式の譲渡制限
⑥株主
⑦事業年度
⑧役員
⑨役員の任期
④資本金の額
最初に会社に突っ込む「元手」ですね。モトデ。
ここはかなり重要です。
注意点は5つ。
特に必要性がなければ、資本金の額は『1,000万円未満』にしとくのが無難です。
資本金1,000万円超だと毎年の税金が高くなる
資本金は、1,000万円超(1,000万円を含まず)にすると、たとえ会社が赤字でもかかる税金が増えてしまいます。
従業者数が50人以下の会社の場合、資本金の額以外は他に何の違いもなくても、赤字の時には年額7万円(法人住民税・均等割)で済むものが、18万円になってしまいます。
ビックリですよね。
資本金1,000万円以上で第1期から消費税の課税事業者
資本金を1,000万円以上にすると、一般的に消費税の免税期間である第1期からでも、消費税の課税事業者となり、消費税がかかってしまいます。
輸出などを主に行っている事業者でもない限り、本来、免税期間で支払わなくてもよかった分の消費税を計算し、わざわざ税金として納めねばならなくなります。
所轄官庁の許認可を受けるための資本金の額
許認可関係では、「資本金の額」が要件になっているものがあります。
事前に調査をせずに資本金を設定してしまい、資本金の額が足りていないと、いきなり門前払いの可能性がありますから注意しましょう。
例)『有料職業紹介』に必要な資本金の額:500万円以上
融資の限度額は資本金の2倍?
いくつかの決算を経て、実績が出てからの融資(借入)とは異なり、設立直後の融資の限度額は、資本金の2倍くらいになることが多いです。
これは私の経験則なので、「なんで?」と言われると困るのですが、実際そんな感じです。設立直後での融資の必要性も十分に考慮しましょう。
「見せ金」資本金
資本金は会社のお金になるので、見せ金のつもりではいけません。違法行為です。
いろんな理由から資本金を大きくしたはいいが、生活費に困ってやっぱり元に戻したいと言われても、私も困ってしまいます。また、勝手に会社からそのお金を”返して”もらえば、”貸付金”となり、金融機関からの融資の際に不利になります。
昔は株式会社を作るのに最低資本金の1,000万円以上が必要でしたが、現在のように1円から会社が作れるようになり、”見せ金”の意味も薄くなりました。
⑤株式の譲渡制限
株式の譲渡制限とは、「自社の株式を売買するときには、会社の承認を得ないといけない」という縛りのことです。会社設立の際には、この制限を「あり」にするか「なし」にするかを選ぶことになります。
これは私は無条件に、制限「あり」でよいと思います。
なぜこのような制限があるのかというと、例えば共同出資者がいる場合に、その人が株式を変な人に譲渡されないようにする効力があります。
中小企業で一族で経営を行うような場合は、万が一のことを考えて「制限あり」の保険をかけておいた方が良いでしょうね。仲たがいをして、”変な人”に大多数の株式が渡ってしまった場合には、面倒くさいことになるかもしれません。
⑥株主
会社は「株主のもの」です。その株式を誰が保有するのか。
普通に考えれば、株式の保有は社長が100%で良いと思います。でももし、他の人にもたせる必要がある場合には、持ち株割合の2分の1超と、3分の2以上という数字を意識しましょう。
経営体制を維持・変更を決定する普通決議においては常に多数決になりますから、社長はまず2分の1超(51%とか。50%はダメ)を押さえておけば、基本的には大丈夫です。
そして、さらに社長の権限を強くしたいならば、3分の2以上を押さえておけば、完全にこっちのものです。これで特別決議による定款変更や、組織再編すらも可能になります。
(決議要件の緩和要件が入っていない場合)
ただし、あまりがっちり割合を抑えてしまうと、共同出資者からすると「あ、この人は絶対に主導権を譲る気はないんだな」と思われてしまうかもしれません。
なので、そこはある程度うまく進むように考えて振る舞う必要があります。なお、株主になる人(出資者)は、全員印鑑証明書が必要となります。
…まだまだ、決めることはあります。
一気に読もうとすると、疲れちゃいますよね。
私も少し、息切れしてきましたので、また次回に続きます。
でも最初で失敗・つまずくと、後々まで引きずることになるので、面倒くさがらず頑張ってきっちりと詰めていきましょう。