こんにちは!今日も元気にブログ書いています。
そして今回は、よくある社長の「誤解」のお話。
「借金の返済は、経費にはならないですよ!」
いきなりこれだけだと、ちょっと何が言いたいのかわからないかもしれません。私がお伝えしたいことは、『お金の動きと会計上の利益の計算は、ズレているんですよ』ということ。
このズレの典型的パターンが、今回説明する、借入金の返済の例です。社長あるあるで、本当によくありますが、借入金の(元本)返済を、経費になると勘違いしてしまう。
借入金の(元本)返済は経費にあらず
社長は基本的に、”現金を追いかける”習性があります。
現在の経営成績はどうなっているかという、正確な試算表を出すにはタイムラグがありますが、通帳ならリアルタイムで見られます。それに、売上が上がり請求書を送ったとしても、実際に回収、お金が入るまでは全然安心できません。
なので、社長としてこの習性は当然のことと言えるでしょう。でも、その感覚が強すぎるあまりか、毎月の借入金返済のための支出に対しても、「お金が出て行ったのは全額経費だろう?」と考えてしまうようです。
しかしながら、現金の動きと会計上の損益というものはイコールではありません。たとえば入金あっても全部が売上げではないですよね。一時的に預かっているお金だってあったりする。
だから当然支出にしても、ぜんぶが【お金の支払い=経費】ではないのです。
特に借入金の返済に関して、この点をわかってもらえない社長の実に多いこと、多いこと。
そして、私が今まで税理士をやっている中で、一番納得してもらえた説明はこれでした。
「社長、もし返済した分が全額経費になるなら、借りた時には売上になっていないとおかしいですよね?」
借入金返済と税金の関係
分かっていただけましたか?
私達税理士、または簿記・会計を勉強したことのある方なら「イロハのイ」ですが、やっぱり普通の感覚的には理解しにくいのでしょう。
仕方ないです。
でも、”絶対に、一回で覚えてしまってください。”
なぜ私がこの点にこだわって、声高に繰り返すのかというと、これが会社にとって具体的な問題を引き起こすことがあるためです。
それは、「社長が想定していたよりも利益が出てしまい、たくさんの税金が発生する」ということ。
よくある社長の(誤解)思考パターン
社長が考えがちなパターンを、もう少しわかりやすいように、例をあげて考えてみましょう。
①元手がなかったので、100万円借金をして営業を開始。
②100万円分商品を仕入れて、それが200万円で売れたとすると、手元には現金が200万円。
③最後に借金の元本を100万円返済したら、決算では現金は100万円残る。
最終的な状況としては、借金100万円の返済も完了して、現金100万が手元にあるわけですから、もちろん黒字です。利益・儲けが100万円出ています。なので、儲けに対しては税金が発生します。
でも、最後に『100万円も返済した』というイメージが強く残っていると、「最後に、100万円分返済したのだから、税金なんかかからないだろう」とつい勝手に思い込んでしまうのです。
つまり、社長の頭の中はこんな感じなのでしょう。
売上高-仕入-返済=利益
200万-100万-100万=0円
「利益0円だから、税金はかからないはず!」
とかなんとか…。
いえいえ、手元に100万円あるじゃないですか。それは、儲けですよね。
もし、この例のように取引がこれだけだった場合には、税引き前の利益が100万円で、税金は26万円程度発生します。
※この例では通常、元本返済に付帯する借入金の『利息』の説明を省いています。元本返済は、経費にはなりませんが、『利息』は経費として認められます。
まとめ
この例では、手元に100万円が残っていて、慌てて税金を支払う余力があるからまだよいですが、儲けを何か別のことに支出していて、もし税金分の残高がなかったら…?
納税資金がない!と大騒ぎになること必死です。
こんなのは、一度”痛い目”にあえば、そういうものなのかと覚えてしまいますが、その一度の痛い目が、会社にとっての致命傷にならないとも限りません。
このような問題が発生するのも結局は、税理士とのコミュニケーション不足が理由です。必要に応じてしっかりコミュニケーションを取って、(会計上の)利益の途中経過を、しっかり追いかけるようにしてください。
税理士(もしくは税務担当)からの説明時に自分の感覚とずれているようなら、その場で突っ込んで聞いてみてくださいね。社長に理解できるように説明するのが本当は税理士の仕事ですが、聞いていなかった・理解していなかったからといって、最終的に痛い目を見るのは社長自身です。
会計を理解するのも、社長の仕事と思って任せきりにせずに、どんどん税理士にも聞いてみましょう!