「税理士を取るのはコスパが良いか?」
今回は、税理士受験生、あるいは現在会社に所属していながら今後の時世を見据えて、『専門職を』考え、「税理士の平均年収800万円!」とかいうネット情報につられて、これから税理士を目指そうかと考えている人向けの内容です。
私は「たまたま」資格が取れてしまったので、それを最大限利用していくだけですが、これから目指そうという人は、かなり注意する必要があると思います。今日はそんな話を。
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「資格」はツール、コスパが大事
税理士資格に限らず『資格』を持っていると、持っていない人よりも楽に多く稼ぐ「チャンス」が得られます。
それはすなわち結局は、資格もお金を稼ぐ仕事の「ツール」つまり道具に過ぎないということの裏返しです。であればやはり、コストパフォーマンスが重要になってきます。
そうすると他のツールと同様で、試験に合格するまでの値段は安ければ安いほど良いし、取得までの期間は短ければ短いほど良い。
さらに、仕事で利用できる効果も、大きければ大きいほど良いということになるはずです。
ちなみに、私が考えるコストパフォーマンスの良い資格は、「運転免許」と「大卒」。
『なーんだ安直だな』と思いますか?
これらは取得が簡単ですが、(社会での評価という意味での)コスパの面では非常に優れていると思っています。
たとえば、取得にかかったコストは、人生設計に織り込みやすい。どの業種でも、一定の評価が得られる。持っている人も多いので、逆に取らないことはデメリットになりうる…などなど。
税理士のコストパフォーマンスはどう?
それでは、税理士のコスパはどうでしょうか。
正直私はあまりよくないと思っています。「なんで?だって年収1,000万円なんでしょう?」それは、次の理由によります。
①期間 平均取得年数は約10年
10年という数字は、予備校のサイトを参考にしました。
私の場合は、大学院による一部免除ルートを選択してやっとこさ9年かかりました。試験の難易度度の問題もありますが、5科目を1科目ずつ受けられるという制度に甘えて、かえって長期勝負で時間をかけがちになります。
②コストが高い
具体的には、800万円のコスト!
800万円=必要経費の支出300万円+勉強時間の機会損失500万円
資格予備校に年間20~25万円、その他にも交通費や模試代が5~10万くらいはかかると仮定しました。例えば1年で上記費用が25万+5万=30万円だった場合には、10年間で300万円!
また勉強時間の方は、一般に1科目当たり、少なくとも年間500時間は必要だと言われています。なので時給1,000円でその時間を労働に費やしたとしたら、@1,000円×500h=50万円。
それが10年間だと500万円ですよ!
またその間、よくありがちな「会計事務所で働きながら勉強」していた”修業時代”の収入についても、あまり良いとは言えないことが多いのが現実です。
なにより、人生の時間は貴重なコストです。
③評価と収入は必ずしも比例しない
税理士資格を取得してからの社会的信用は、実感としてかなり高いです。
でも、その社会的信用が、即収入に直結するかどうかは別のお話。以前の記事でも書きましたが、資格は取ってからが勝負の世界です。
関連 税理士は資格を取ってからがナンボの商売
頑張って取れたからといって、バラ色の人生が待っているわけではありません。また、私は個人的に税理士業界は、斜陽産業だとも思っています。
④難易度がとても高い
税理士試験は、正直なところかなり難しい資格試験です。
有名どころの資格試験には、難化するという宿命があります。
具体的に税理士試験で求められるものは、基礎的な計算力のみならず、かなりの暗記力、そして何より、馬鹿みたいに何年もの間、ずっとモチベーションを高く維持するという根気と目的意識が欠かせません。
そして、こんな難しい資格に挑戦してくるのは、もともと勉強が苦手でなかった層の人達。
そんな受験生達が、人生をかけて頑張って勉強して、それでも合格率は1科目当たり10%前後となっている試験です。そして、税理士になるためには、それを5科目揃えないといけません。
これはきついです。
とりあえず、ここまで読んでみてあなたはどう思われたでしょうか?
これから税理士を目指そうかどうかと迷っている学生や、”天職”を求めて税理士試験を受けようとしている社会人の方には夢も希望もない話になりますが、ぶっちゃけた話、もし私が『18歳から人生をやり直せた』としても、税理士は目指しません。
当時は、こんなにきついと知らなかったから目指すことができました。今なら間違いなく、何かビジネスプランやアイデアを練って、いきなり自営業で勝負することでしょう。
↓続く