「税理士を取るのはコスパが良いか?②」
前回では「税理士がきつい資格だ!」ということをひたすら綴りました。
関連 「平均年収800万円?」税理士資格とコストパフォーマンス
税理士資格は、取るのがかなりきつい。
取れても独立しないと、収入は大手に就職したサラリーマンと変わらない。
独立したらしたで、結局今まで勉強してこなかった営業勝負になる…。
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税理士試験のコスパは最悪
なので私は、税理士のコスパは悪いと思っています。
そもそも営業勝負で勝てる人なら、税理士業以外で普通に独立しても勝負できるはずです。そんなに営業が得意なら、わざわざ”苦行”である税理士試験のために、10年も勉強する必要はありません。
では、それでも税理士を目指す人達はどうあるべきなのでしょうか?
資格というものは、1か0のシビアな世界です。
「ただいま勉強中です」と前向きなつもりでアピールしても、ビジネスの世界での信用はないに等しいからです。
以下ではそれでも税理士を目指したい方のために、「完全合格」するということだけに焦点を当て、もう一歩踏み込んで話を進めてみたいと思います。
税理士試験という人生の罠
まず税理士試験には、人生の”ワナ”があります。
それがズバリ、科目合格制です。
税理士試験というものは、任意の科目に1科目ずつ受験できます。そして、たとえ何年かかったとしても、最終的に5科目合格(あるいは取得)すればOKなのです。
税理士の科目試験は、1回でも合格したらその”合格”は一生有効となります。
なので社会人でも”コツコツ”勉強して合格を目指すこともできるため、資格試験としてのハードルを低く「見せて」います。
ところが受験のハードルと合格のハードルは全く別物です。
「俺、税理士試験を受けているんだ!」
なんてかっこよく(?)言えるわけですが、受かるのは大変難しい。
私は、この点が一番の曲者だと思っています。
では、具体的に何が問題なんでしょうか?
…
…
人間というものは、他の資格試験でも同じですが、人生の時間とお金を掛け過ぎると、引っ込みがつかなくなります。
要するに、”損切り”ができなくなる。
これは自分に対してだけではなく、他人に対しても同じこと。
最終合格までは、どう考えても無理そうだとは自分ではなんとなくわかっているのに、
『今までの膨大な苦労が、すべて無駄になってしまうのではないか?』
『諦めたらバカにされるのではないか?』
と固執し、人生のかじ取りが危うくなっていきます。
「世の中の社長を助ける仕事をしたい!」
という信念や他に何か特別な理由で、「どうしても税理士になりたい」という、本当に強い思いがある方を除き、税理士資格なんて本当はどうでもよいはずです。
税理士資格は、仕事上の単なるツールです。なので自分には取るのが難しいと思ったら、さっさと自分にあった別のツールを探して注力すればよい。
ところが、なまじっか時間とお金を費やしていると、”撤退”の判断は鈍ることになります。
科目合格制なので、
「あともう少しだから」とか、
「3科目合格まで来ちゃったから」
などの理由がその判断をさらに鈍らせます。
たとえ60歳になって”税理士”が取れたとして、早めに撤退したルートより生涯獲得収入が大きくなると思いますか?
いや、なりません。
仮に生涯収入が多少大きくなったとして、そこまで時間を費やした対価に見合いますか?
いえ、見合いません。
残酷なようですが、税理士試験をコストパフォーマンスで考えた場合にはこれが現実でしょう。
税理士を目指すならば、自分に課しておくべきこと
それでも税理士を目指したい人は、以下のことを自分に課しておいて下さい。
①タイムリミットを設ける
私たちの人生とは、時間そのものです。
死んでしまったら本当のタイムリミットなので有限です。その有限である人生を、どこまでのコストをかけ、挑戦するのかということは先に決めておいた方が賢明でしょう。
会社だって赤字のままずっと存続することはできません。
試験の不合格という残念な事実は、まさに赤字経営と一緒。
「何歳まで」
あるいは
「何回まで」など、
自分なりにタイムリミットを設けて人生設計をしておかないと、最初は輝かしい目標であったはずの資格に人生をメチャクチャ振りまわされる可能性があります。
ツールに振り回されてしまっては本末転倒です。
②あらゆる手段を検討する
税理士試験というものは、
全部で11科目の中から自分で好きなのを受け、最終的に5科目受かればOKな試験です。
でもその取得するための”道”は、すべての人にとって同じではありません。
簿記論と財務諸表論という会計科目は必須だったり、消費税法と酒税法はどちらか1科目しか選択できない等の制限があったりしますが、別ルートとしては、大学院で「税法」または「会計学」に属する科目等の研究を行えば、一部税理士試験での試験科目が免除されるという道もあります。
つまり、税理士になる道にも、いくつかの選択肢があります。
そして、その”ルートの違い”が生み出すものとして、
「試験5科目で合格した方が大学院税理士よりも偉い」
とか、他人より
「難しい科目で合格した方が偉い」みたいな風潮が、税理士業界にはあります。
でも、そんなことは気にする必要はありません。
ダサくても、資格は取って稼いだもの勝ち!
実際に独立して、
開業税理士として「稼いでいる」私からしてみれば、
そんなものは、幻想・妄想でした。
「どんなルート(科目)で、税理士になったのか?」
そんなのを気にしているのは、同業の税理士同士だけです。我々のお客様である事業主・社長は、そんなことにほとんど関心がありません。
また、通常の人生の目標という観点から考えても、
「資格は最終合格した方が偉い」または「稼いだ方が偉い」ということになることでしょう。
これは税理士試験という業界の話になりますが私の場合、
簿記論・財務諸表論・酒税法・大学院(論文免除×2)
で5科目揃えました。
これは知る人ぞ知る、きっと税理士業界的には、かなりダサいルートと言えるでしょう。
でも私としては、
「かっこいい合格をしたいのか、稼ぎたいのか、どっちなんだ?」
と聞きたいものです。
どうですか?
慈善事業を行うのではなく、人生の中でのコストパフォーマンスを第一に考えるのであれば、自らの設定したタイムリミットに間に合わせるため、あらゆる手段を検討して下さい。
外野の言うことなんて、どうでもいいんですよ。
あなたが独立志向なら、将来の税理士仲間は、どうせライバルになります。
お客様も、あなたがニセ税理士(資格を持たないで税理士を名乗って商売する人)ではない限り、きちんとよいパフォーマンスさえ発揮していれば、そんなことどうでもいいんです。
せっかくこんなハードルの高い資格を目指すのであれば、”税理士”取って稼ぎましょうね!
年収800万円?
あなたが欲しいのは、そんな程度でいいんですか!?
必ず!