【節税のための保険】には、気をつけろ!「目的を見誤らないために②」

節税保険の選択肢
前回の、保険の目的を見誤るな!という内容の続きです。

保険を会社の『節税』のために入る前にはよく検討してください!という内容になりますが、まずはこちらの記事をご覧ください。

関連 【節税のための保険】には、気をつけろ!「目的を見誤らないために①」

ここで私が問題にしているのは、「解約を前提とした節税目的の保険」の場合です。
そもそも、保険に頼らないといけない状況に陥っているのは、『節税の失敗』を意味しています。

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節税のための保険の4つの問題

節税のための保険を、私があまり好きではない理由は、以下の4つです。

①解約返戻金(率)が増えるまでには長い年月

保険では、中途解約した際などに契約者に払い戻されるお金がありますが、これを解約辺戻金(かいやくへんれいきん)といいます。

解約返戻金は、支払った年数とともに返してもらえる割合(率)も増える傾向がありますが、実質的にその率が、各保険会社で設定している”最大値”となるまでには非常に長い時間がかり、その間会社がうまく存続している保証はありません。

なので、解約返戻金の率が悪い時期がしばらく続き、解約の時期が縛られることになります。

なので、10年後20年後にいくら戻りますと言われても、目先の税金を回避するのに精いっぱいの社長が、どうやってそんな先の事を想像するのでしょうか。

10年先が見えるなら、1年前に直前決算のために節税のセッティングをする方が簡単ですよね。

②節税のはずが手元資金が減る

節税向けの保険の為に毎月支払えば、その分手元にお金が残らないし、経費になるのも保険料の半分で、全額ではありません。

さらに、満期になった時に還ってくる返戻金(又は解約返戻金)は、税務上は『売上』となり、当然その分には税金が発生します。

例えば、利益が300円に対して税金が90円かかるとしたら、手元に残るのは210円です。

・300円-90円=210円

一方、利益の300円を保険料200円(しかも経費になるのは半分の100円だけ!!)で消したら、税金は60円と安くはなるものの、手元には40円しか残りません。

・300円-200円-60円=40円

あれれ、節税したのに資金繰りは苦しくなってますね?

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③返戻金は『売り上げ』で税金がかかる

保険は戻ってくるときに税金がかかります。

会社としてやっとの思いで資金繰りを繋いで、頑張って保険という名の貯金をし、節税にも役に立っただろう…。

でもこの保険、いざ解約すると、いままで経費になった分、およそそのまま『売上処理』となることを先ほどお伝えしました。

保険屋さんであれば、「その際は、社長の退職金とぶつけて利益調整できます」と言うような提案をしてくることもあるかと思いますが、

(社長を代表取締役から退任し、『退職金』という大きな費用を発生させ『売上処理』と相殺)

それは別に保険を掛けなくても可能です。

退職金を払えるように資金を貯めるという目的も、そのせいで資金繰りに苦労していたら意味がありませんよね。

目先の資金繰りを苦しくして、税金を先延ばしにしているだけになります。

④『実質辺戻率』という数字のトリック

保険の資料には、「実質返戻率」という数字のトリックがあります。

保険の設計書では、先ほどご説明した解約返戻金の説明が必ずありますが、ここにはワナがあることを覚えておいて損はありません。

まず、普通の「返戻率」というのは、お金で戻ってくる部分。そして、「実質返戻率」というのが、節税効果を含めたメリットを現している点に注意が必要です。

『実質返戻率が100%を超えるのですよ。すごいと思いませんか?』

というセールストーク。

先ほど書いたように、節税効果というものはあくまで税金の先送りなわけですから、メリットとして上乗せして説明するのは、本来、正しくありません。

また、節税効果を説明する際に用いられる法人税率

法人税率は2段階税率で、800万円までの利益は約26%、それを超える部分は約38%となっています。

保険の資料では、節税効果を高い方の税率で計算して、メリットを多く見せているのをよくみかけます。でも、中小企業で800万円を超える利益を安定的に出せる会社なんてのは、多くはありませんよね。

一方で、いわゆる終身保険や学資保険などを見ていると、本当の意味での120%とかで表現されている商品もあります。

なので、よくその”違い”を理解していない限り、普通はそういう利回りと同じものだと、勘違いしてしまうのではないでしょうか。

なので、節税向けの保険に関して言えば、こういう細かいトリックをちりばめて販売するスタイルに思えて、個人的にどうも好きになれません。

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まとめ

もし節税保険を考えているのであれば、「実質辺戻率」ではなく、あくまでも実際のお金で戻ってくる「返戻率」の方に注目しながら検討してみてください。

すると最近の保険では、ほぼ間違いなく返戻率は100%を切るはずです。

(昔は普通の返戻率で100%を超える商品もあったようですが)

とすると、その差額分で定期保険(掛け捨て保険)に加入しているようなものですよね。それならば、初めから目先が安くて、経費にもなる定期保険で十分だと思いませんか?

…私はそう思います。

もちろん、どんどん新しい商品というものは出てきますので、本当にいい商品に巡り合う可能性もあることでしょう。でも、事前に担当税理士には相談してみましょう。

長期間、高額の保険料を払い続けるわけですから、”入り口”で間違えてしまっては残念です。税理士は会社・税の専門家なんですから、こういう時こそ相談しなくちゃいけませんよ!

(“節税”の専門家は、保険屋さんではなく、我々税理士です!)

あ、それから、「お金が余って余って仕方がないから先送りでもなんでもいいから、目先の税金を減らしたい」という社長はどうぞご自由に。

そのような場合には、先送り方法としては有効な方法であるかもしれませんので。

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