「内部不正の手口アレコレ②」
前回からの続きです。
さて、それでは具体的な内部不正の手口について、張り切ってお伝えしていきます。
(もちろん、張り切るのは、私自身のお話。内部不正をしてもらうために書いてないのはもちろんです!)
内部不正を『完全に』防ぐのは難しいですが、きっちり仕組みが整えて、税理士などのチェックが効いてくるようになれば、かなり露見しやすくはなるはずです。今回は、主に会社が被る直接的な損害とその予防策についてです。
内部不正の手口(直接型)
①現金やモノ、情報を盗む
「内部不正!」と聞いて、社長にとって一番想像しやすいのが現金や物、情報などを実際に盗まれることでしょう。
そして、一番回避が難しいのもこれらです。
たとえば、信頼して権限を与えている人間などにこっそり持ち出されたら、リアルタイムで気づくことは非常に難しいはずです。
また不正者の他の種類として、「(持ち出して)紛失したことにする」とか、「個人的な借金の返済期限のため、不正に得たお金でとりあえず返済をし、あとで他から借りて補填する」といった亜種もあります。
内部不正(現金や商品在庫・情報)の予防策14
あなたの会社の内部不正予防策は万全でしょうか?
【完全に内部不正を防止する】ことは不可能ですが、事前に可能な限りの防止策をとっておくことで、被害を拡大させないようにしておくことはできます。
以下は防止策の例です。
「ざっと目を通す程度」でもいいので、あなたの会社に当てはまりそうな個所をチェックしてみてください。
【現金管理】
主に飲食店などがありますね。
- つり銭や経費用の現金は、なるべく少額にする
- 集金等は『振込』や『引落』にして、そもそも現金に触れられないようにする
- 『決済者』と実際の資金移動の『手続者』とを分ける
- レジの返金処理や現金過不足を控室に貼り出す等、該当日の責任者の統計を取る
(問題発生日は、特定の人間のシフトに偏っていないかをチェック) - 売上金の現金は、きっちり全額をその日のうちに入金用口座に入れて、通帳のコピーなどで連絡させる
【在庫管理】
在庫商売であれば、『万引き』以上にきっちり管理が必要です。
- 倉庫や金庫を使うときはIDが必要にする
- 倉庫や金庫には監視カメラを付ける
- 『棚卸』は毎回きっちり行う。あるいは、専門の業者に依頼する。
【情報管理】
特に機密情報は会社の根幹部分です。
- 定期的にパソコンのログを取る
- 機密情報はIDなしでアクセスできないようにする
- 通帳などの資料は定期的にコピーでなく現物をチェック
【その他一般】
- ダブルチェックの徹底
- 責任者は長期間固定しない
- 『明らかに不正』だと感じたら、額に関わらず迷わず警察を呼ぶ。
②サボる(時間の浪費)
給料が出ている時間なのに、大いに「サボる」ことも、会社のお金を直接盗んでいるのと同じような行為です。
しかしながら、常に監視・管理しているわけにもいかず、こちらも完全に回避することは非常に難しいことでしょう。
(あからさまに行うと、従業員としても嫌がることでしょうし)
一方で、
「営業は数字さえ上げれば、ノルマさえクリアすれば多少サボっても良い。」
こんな話もよく耳にします。
社長がそれでOKならそれでも良いですが、良くないならやはり仕組みを作る必要があります。
さぼり(時間の浪費)の予防策
【外回り営業管理】
- 作業開始や終了時に連絡を入れさせる
- タイムカードやGPS、運送業ならデジタコを導入
- 直行直帰や残業を原則禁止、又は事前申請制に
- 複数で行動させる
【内勤・店舗管理】
- 監視カメラの導入
- パソコンのログを取る
- スケジュール管理アプリや定期的に取引先に連絡を入れる
- 社長自身が現場に出たり、たまにふらっと顔を出す
- 単純化できる仕事は標準作業時間等を設定し、個別に能率のコントロール
【その他一般】
- ほうれんそう(報告・連絡・相談)の徹底
今回は主に、内部不正よって被る直接的な損害についてでした。
さらに次回に続きます。(次回は間接的な損害について)