「内部不正の手口アレコレ③」
前回からの続きで、内部不正の直接的な損害についての後は、間接的な損害についてです。
関連 火曜日にいつも在庫が合わない!?【内部不正の手口アレコレ②】
そもそも、”不正をやる奴”が一番いけないのは当然なのですが、結局のところ全員が不幸になってしまいますよね。
特に盗むなどの不正をやった本人は犯罪者です。やられた方としても、失ったものを取り戻せるかどうかわからないし、従業員を疑うのも精神的にかなりストレスとなってきます。
ただ、『そんな気』を起こさせるようなシステムでなければ、お互いこんな不幸な目に遭わなくて済んだはずなのです。社長は組織の最大権限者なので、その点においては、社長にも責任があることになることでしょう。
内部不正の手口(間接型)
①経費精算をごまかす
本来経費でないものやプライベートなものを経費として提出して、精算金を得ようとする。
酷いものになると、飲み屋でもらった白紙の領収書に適当な金額を書いたり、書いてある金額自体を書き換えたりということもあります。
本当は身内であるはずの従業員を疑いたくはないでしょうが、やはり”悪い奴”という者も一定数存在していて、いろんなことを考えてきます。
最近だと、政治家の政治資金の使途が問題になってもいますね。
これら不正な清算については、少なくとも一度は経理を経由するので、経理に気が利く人間がいれば、はじくことができるかもしれません。
内部不正(経費精算)の予防策
社員から提出された清算書を、きちんとチェックできる体制はできていますか?
- 経費精算の書式や締め日などの徹底
- 経費になるものや金額の権限をあらかじめ指定しておく。
(権限を超えるものは事前申請制) - 掛取引や振込・引落を増やし、現金による経費精算を極力減らす。
- 交際費等の場合は、”行きつけ”の場所を指定する。
- ガソリンなど定期的に発生するものは車を特定し、給油間隔をチェック
- 経費精算書を他社員と比べ、金額が多い者を詳しく確認
②福利厚生をごまかす
飲食店の場合では、
社員割引などを利用しての自己清算(食べた分は給料から控除など)を通さずに勝手に”タダ飯”を食べたり、閉店が近いのにあえて廃棄になる量を作り、廃棄にしたことにして持ち帰る。
また、店舗などに友人が来た時には、
レジを打たない・過剰なサービス(本当は”ダメな”クーポンを適用、ポイントカードにたくさんのポイントを押してあげる)・社員割引で買ったものを友人に横流や転売など、まだまだあります。
直接的な損害にも思えますが、会社の制度を悪用している点で、間接的な損害としてみました。このように悪いことは、やろうと思えばかなりのことができるのです。
勝手に福利厚生をされては、たまったものではありません。
予防策
【店舗運営】
- 接客担当と会計係は(基本は)分ける
- 複数で行動させる(1人になる時間帯を作らない)
- 社員割引等の福利厚生は、利用者と利用率、消化率を集計
- 社長自身が現場に出たり、ふらっと顔を出す
- 特別なサービスや値引きの権限を与える場合、その範囲を明示
- クーポンやポイントカードには、お客様の記名欄を設け、スタンプを押した者や日時を明確にする
【商品在庫など】
- オークションサイトなどを自社商品が不正に出回っていないか定期的にチェック
- ロスチェックや棚卸を徹底
重要なことは、”仕組み”があるだけで、相当な抑止力になる点です。
続きます。