保険を掛ける際は「法人名義」or「個人名義」どちらが有利?

天秤
「保険を掛けるなら法人名義か個人名義か?」

今回は、社長からの良くある質問です。

「生命保険に加入する予定なんだけど、法人名義と個人名義とどちらがいいの?」

そして、たいていはこのように続きます。
「やっぱり経費になるから、法人の方が有利なのかな?」

いえいえ、確かに経費になるという点だけに焦点を絞れば、その通りです。でも全体を考えた上で有利不利の判定をするのであれば、私の考えはむしろ逆です。

保険に入るならば、ほとんどの場合には個人名義での加入をオススメします。

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注意すべき保険の種類

一口に『保険』と言っても、保険にはいろんな種類があります。

たとえば終身保険は、人間は誰でもいつか必ず死ぬので確実にもらえる保険です。そのため、法人名義で加入としても「貯金」のような扱いとなり、会社の経費にはなりません。

だから今回のテーマには無関係なので、これ以上は触れません。

終身保険(しゅうしんほけん)とは、生命保険のうち契約期間の終了がないものをいう。                     出典: wikipedia 終身保険

一方で、長期平準的保険など、解約返戻金のある一定の保険の場合は、(解約時などに)もらえるタイミングが遅かったり、もらえる金額が増えていくのが遅かったりと不自由な条件が付く代わりに、1/2だけは経費にできます。

法人にとって、いわゆる節税保険と呼ばれるものはこちらの種類の保険です。こちらは、「できるだけ経費にしたい。」でも、掛け捨てじゃなくて「後でそのお金を回収したい。」という用途で加入が検討されます。

そして、今回私がテーマにしたいのは、定期保険

定期保険(ていきほけん)とは、生命保険のうち保障期間を契約時に定め、契約終了時の返戻金のないものを言う。いわゆる「掛け捨て保険」

出典: wikipedia 定期保険

定期保険は、「万が一」のために備える、いわゆる掛け捨て型の保険です。以前に、保険について書いた時にはこちらの掛け捨ての保険をオススメしました。

関連 【節税のための保険】には、気をつけろ!「目的を見誤らないために①」

ところが法人名義で入る際には、少し注意が必要になりますので、その注意点を以下でお伝えしていくことにします。

法人名義で保険に加入時の「リスク」

一般的に法人名義で保険に加入すると、解約や満期、不慮の事故などで「戻ってくる保険金」については、基本的には問答無用で売上処理となります。

そのため、せっかく支払われた保険金ですが、売上(収益)として税金がかけられることになるため、その事業年度においては税金の負担が増加することになります。

これは「節税のための保険」でも同じことが発生しますが、こちらは解約時期を最初から見定めて契約しているわけですから、税金的に対処不能に陥ることはありません。

しかし、定期保険の場合は事情が異なります。

万が一に備える定期保険において、いざ、”万が一”という不慮の事態が発生したときには、時間的・金額的に十分な節税対策はできないことの方が多いことでしょう。

一般的には、社長さんたちは自分の年収の5~10倍くらいの保険をかけています。なので、年収1,000万円の方なら、入ってくる保険金額は1億円にもなりえるわけですね。

んん~~。1億円ですよ!

普通の中小企業において、突発的に1億円分の収益が発生したら、ほとんどの節税対策なんて焼け石に水のはずです。

これを相殺するための有効な手段としては、役員の退職金という費用の発生が考えられますが、社歴が浅いと年収が高くても税法上の制限により、そんなに高額は出せないものです。

そうすると、費用で消しきれなかった保険金はそのまま会社にとっての「利益」となり、税金がかかってくることになります。かりに5,000万円の利益が出てしまったとしたら、税金はざっくり1,800万円です。

180万円ではありません。1,800万円ですよ!

安いと思っていた掛け捨ての定期保険の保険料を、よかれと思って会社の経費にしたばっかりに、万が一の際には、多額の税金がやってきます。

もちろん、”万が一”の際にはご本人はいなくて、後に残された人たちの問題にはなりますが、さぁあなたは法人と個人名義、どちらでの契約を取りますか?

個人名義の方が「非課税枠」など対処法が多い

それでは、個人名義でかけた時にはどうなるでしょうか?

個人でかけた場合、”万が一”の際には、遺族に対して支払われる保険金は、相続税の対象となります。

国としてはどちらにしろ税金をかけたいわけですね。

しかしながら、相続税の場合には、【3,000万円+法定相続人の数×600万円の基礎控除、法定相続人の数×500万円】という、生命保険の非課税枠があります。

節税を考えるのであれば、この効果が大きいのです。

他にも、配偶者控除1億6,000万円の特例など、難しい用語はさておき、相続税はもともとスケールの大きい世界ですから、大きな金額への対処方法がたくさん存在しています。

つまり、法人税の枠で1億円に対する税金の”削減”に取り組むのは難しいのですが、相続税の枠でなら、色々とやりようがあるのです。

まとめ

どうでしょうか?

保険を法人契約にして、目先の経費を欲張ったばっかりに、想像もしていなかった大きなリスクを背負うことにもなります。

(後に残された人々の問題にはなりますが)

そのリスクも十分に理解した上で、あえて勝負するなら準備のしようもあるのですが、ただ、知らなかった場合には、残された家族はたまりません!

保険に限らず、このようにどこに重要論点が隠れているか分かりませんので、まずは何でもかんでも税理士に相談してみるのが”吉”です。

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