「お客様に本気で説教した話①」
今回は、税理士としてお客様に本気で説教した話をします。
私のお客様はほとんどが30代です。5割くらいでしょうか。
私も30代なので、一番話が合いやすいのだと思います。続いて、40代が3割、20代と50代以上が1割ずつくらいのイメージです。
基本的に私はなるべくお客様と対等に接したいと思っていますが、さすがの私もやはり年上の方との距離感は少し考えます。
そんな私も、一度だけどうしても我慢できずに年上の方に説教したことがありました。
不自然な創業と共同経営
その方は、お客様の紹介でお会いした50代男性。
すでに新しく会社を作ったのだそうです。その後の融資などを検討したいということで、早速打合せのために喫茶店でミーティングとなったのですが、そこに株主にも役員にも入っていないAさん(※)を連れてきました。
しかも、そのAさんがほとんど事業計画等の説明をしていました。
(なんだかおかしいぞ・・・?)
※わかりやすいように、以下ではAさんを犬山さんと呼ぶことにします。
社長は終始ダンマリ。
まぁ、金持ちさんが出資だけして、実行部隊をよそから引っ張ってくるだけなら割と良くある話です。でもその場合、社長の方は『投資意欲があってエネルギッシュ』な方であることが多い。
実行部隊となる方にも、「社長にどこまでもついていきます!」みたいな上下関係があります。ところが、今回はどうみても主従関係が逆転しています。
疑問に思った私は、ズバッと聞きました。
「お二人はどういう関係なんですか?」
話を聞くと、、、
- 犬山さんはわけあって、今回の会社に名前は出せない。
- 犬山さんは事業のノウハウを持っている。一方で社長はノウハウも何もない。そもそも、会社経営自体が初めて。
- 犬山さんにはお金がないので、社長が借金までして全額出資して会社を作った。
- 社長は犬山さんにお金を貸している。
- 「創業融資」を社長名義で目いっぱい借りたい。
(・・・???この人たち、何がしたいんだ?)
共同経営が非常に難しいことは以前の記事で書いた通りです。お金と責任のバランス、それから意思決定のスピード感が難しいのです。
共同経営の失敗のニオイ、それとも…
今回のケースだと、お金を出した社長が事業のノウハウも何もなく、さらにリーダーシップも取れないわけですから、社長は犬山さんに”食い物に”されるに決まっています。
やろうと思えば、何でもできてしまいます。
知り合いの業者に中抜きさせて、裏でマージンを受け取る。
うまくいかなかったことにして、裏で売上を抜く。
軌道に乗り始めたところで、自分がその権利を持ち出して新規事業を立ち上げる。
それこそ何でもアリです。
もし、黙って小遣いくらいのリターンを受け取るだけで文句を言わないなら、使い道があるからその間は会社の代表に据えておいてやろう。
しかし、文句を言ったらどうなるか分かっているだろうな・・・?
そんなことになるに決まっています。
皆さんは未来のことは分からないと思いますか?
いやいや、分かるんです。そうなるに決まっています。断定的なので、違和感を覚える人もいるかもしれませんが、これは専門家としての勘です。
税理士はその辺の感覚が研ぎ澄まされています。何が成功するかを当てることは確かに難しいです。でも、失敗のにおいをかぎ分けることは、かなりの精度でできると自負しています。
まさに、詐欺の現場に立ち会っているような気分でした。
さてさて、この後どうなるのでしょうか・・・。