「税理士は好きなことを言っている方が良い」
あけましておめでとうございます。
今年も張り切って頑張ります。今回は、「税理士や税理士勤務の方に向けたエールを!」といいつつ、自己肯定の内容の部分も多くなっているかもしれません。
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税理士として成功したいなら、ただ税務処理をしているだけではダメ
私の見る限り税理士業界の方は、
「お勉強ができて控えめ」
な性格を持っている人が多いと感じています。
そして、実際にお客様としても、そのようなイメージと実感を持っているようです。
あくまで社長が主役と考えているため、出しゃばらずなるべく控えめ、社長と自分の主義主張が合わなくても、その場はとりあえず合わせる。
税金の処理が危ういところ以外では、基本的に強く主張したりはしない。
税理士という仕事が、「企業・社長を補佐するという仕事の性質」と、非常に難易度の高い税理士試験という側面から、そういう方が集まりやすく、また、残りやすくもあるのでしょう。
それは、分かります。お勉強ができるのも大変結構です。
しかしながら、私は税理士の「控えめ」というスタンスだけは、間違いだと思っています。
税理士は控えめであるべきではありません。
なぜ、控えめではだめなのでしょうか。
社長は基本的に言うことを聞かない人種
意外に思われるかもしれませんが、社長という人種は基本的に慎重です。
何かを新しく始めるときには、必ず大量の情報収集をします。
その結果、自分の中で赤点でないと思えてから初めて、その成功確率を上げる方向性への思考パターンに入っていき、それからは基本的に前しか見なくなります。
一度、
「やりたい、やる」
と思ったら止まりません。
そこから先はやる根拠を一生懸命探しているのです。
さらには、従業員や税理士など他者の忠告に納得できれば、それまでどれだけプロジェクトが進んでいたとしても、どれだけ業者を泣かそうとも、すべてを白紙撤回してでも、さっさと次のビジネスをも考えたいとも思っています。
つまり、『社長』という人たちは、慎重ではありますが、基本的に自分自身の意思に向かって突き進んでいく人種が多いようです。
社長は自分と同じかそれ以上の熱量にしか反応しない
私自身が、不動産や飲食など、税理士以外の意思決定をしてみてわかったことがあります。
まず、自分の命にも似たお金を投資するのですから、これから行おうとする分野について、必死に、一生懸命、調査しないはずがありません。
投資額も大きいわけですから、勝算も見えないのに闇雲に行っているようでは、事業者としては失格、というか論外なので当然のことです。
ところが同時に、どれだけ調べても考えても、絶対に成功を裏付けする根拠が100%にはならない ことに気がつくことになります。
じつはそれが不安で不安で、仕方がないのです。
なので、それを打ち消すためにまた自分で根拠を探してくる。
通常、投資検討先の方も一緒になって調べてくれるため、ポジティブな情報を探してくることはそれほど難しくありません。
そこで大事になってくるのが、ネガティブな情報です。
じつは、これを確認することの方がより重要で、そして難しかったりします。なぜなら、ポジティブ情報を一生懸命集めた後だと、曖昧な反対意見などは、簡単に一蹴してしまいます。
ところがネガティブな情報の中には、事業のリスクを考えるうえで、あらかじめ考慮しておくべき点などに結びついていることもあり、それらに事前に手を打っておくためにも、事業主としては目をつぶっておくべきではない検討材料です。
かといって社長と同じだけの熱量でわざわざ情報収集をしてくれる人は、従業員でさえまずいません。なので、頑張って自分一人で集めるしかありません。
以前の記事で、私が大事にしていることとして
「決めつけ、押しつけ、即答、断言」
の4つを挙げました。
私は税理士こそが、ここでいうネガティブ情報になり得ると思っています。
税理士が、社長に向かって事業のリスク・反対意見を正々堂々と伝えてあげること。
会社の経営の事はともかく、お金関係の事ではどう考えたって税理士の方が強いはずです。ダメなら「ダメ!」と、反対なら「反対!」だとしっかり言うことが大事なはずです。
もちろん、無理に反対意見を言うという意味ではなく、とてもいいアイディアだと賛同し、「賛成」であるなら、それはそれで構いません。
とにかく、税理士としては、社長がヘンテコな事を言い出したら、徹底的に議論(時にはケンカ)してでも、ケチョンケチョンにやっつけてしまいましょう。
しかも、相手のためを思って、議論には勝ってしまう方がいいでしょう。下手な遠慮など必要ありません。それがプロフェッショナルというものです。
少なくとも、私はそう信じています。
税理士の価値は社長にとってのネガティブ材料
わたしは、社長に意見を伝えたことにより、その場でどんなに嫌われてもかまいません。
どう考えてみても、自分の方が正しい(結果的に社長の利益になる)と思っているので、たとえ契約解除になったとしても仕方ありません。
どのみち、『合わない方』とはいずれ離れていくことになります。
それが早いか遅いかの違いだけです。
逆に、納得してくれたら、信頼関係は格段に強化されることになります。
たとえ社長が計画を進めても、やめたとしても、とにかく自分の意見を、
「社長と同等以上の熱量で」
伝えたという事実が残れば、私はそれでよいのです。
わたしはその熱量のこもった意見にこそ、税理士の価値が凝縮されていると考えています。
社長の気分がコロコロ変わったとして、税理士の意見もそれに合わせてコロコロ変わったら、どう思いますでしょうか?
私ならたとえケンカになったとしても、一貫性をもって、いつも同じことを言ってくれる人の方を信用します。そういう人となら、今でなくてもいずれどこか他の機会でも、一緒に仕事ができる気がしますね。
だから、税理士は控えめであるべきではありません。
コメント
なるほど、時には喧嘩することも良い方向につながるんですね!
それだけパワーがあるということの証明にもなりますし、そういうパワフルさは社長さんから見たら頼もしく、面白い!ということになるのかもしれないですね。
金山 直志様
>>なるほど、時には喧嘩することも良い方向につながるんですね!
>>それだけパワーがあるということの証明にもなりますし、そういうパワフルさは社長さんから見たら頼もしく、面白い!ということになるのかもしれないですね。
コメントありがとうございます。
自営業者に対して本音を言ってくれる人は意外なほど少なく、
さらに、税理士にしか教えていない情報はたくさんあるので、
しっかりとした意見を持ってぶつかっていく税理士は貴重な情報源のはずなんですよね。
頼もしく面白い…そのように思っていただけるようにこれからも頑張ります。