飲食店オープンから倒産までのよくあるかもしれない話①

飲食店 倒産
前回お伝えしたように、私の飲食店は開始早々にダメになってしまいました。

飲食店が倒産するまでには、経営者の視点からみて、どのようなことが起こっているのでしょうか。

せっかく夢をもって、努力してきたはずなのに、いったいどこがいけなかったのか。

つまりは、何が問題だったのか。

これに対する私なりの理解を、開業から”最後”までの飲食店を「最悪の」ストーリーに乗せてお届けします。

スポンサーリンク

始めるときは誰でも夢いっぱい

今働いている飲食店を辞めて、

「自分の店」を持ちたいと夢見る山田太郎さんのお話。

  • 年齢:38歳
  • 現在の年収:600万円
  • 学歴:高校を卒業
  • 職歴:18歳から20年飲食店に勤める
  • 家族構成:妻と娘2人(小学校1年生・4年生)
  • 住居:郊外の1戸建て、住宅ローン残高2,500万円
  • その他:妻は扶養の範囲でパート勤め

高校を卒業してから約20年間、飲食業に従事してきた山田さん。

下積み時代は中華から和食・フレンチまで料理人として様々な経験を積み、また、経営者としても居酒屋の店長を任されていたこともありました。

料理人としては、特に一つの分野に特化してきたわけではないものの、今の仕事は地元ではランドマークとなっている有名ホテルの副料理長を任されています。

山田さんは自分が”料理が得意で大好き“であり、なにより”人に喜んでもらうのが大好き“なことを誇りに思っています。

なので現在の仕事に特に不満があるわけではありませんが、より自分自身がこだわった材料・提供の仕方などを楽しんで考えながら、自分のペースで仕事をすることを夢見ており、

「いつかは自分の店を持つぞ!」

とかねてから真剣に計画していたのです。

そして40歳を前に、結婚前より「自分の店のために」とコツコツ貯めていた貯金が、ついに1,000万円に達しました。

マイホームローンもありながら、自分でこれだけ貯めるのは並大抵の意思ではありません。努力の甲斐あって夢はもうすぐ目の前まできました。もう後は、前に進むだけ。

山田さんは、ついに勝負に出る決心をしました。

マイホームの購入資金以外として、あくまでも自分のお店の為にと山田さんが若い頃からお金を貯め続けていたのは、奥さんも当然知っています。

なので、

「昔からの夢だと知っているから応援するよ」

とありがたい返事が返ってきました。

2人の子どもはもう小学生で、どんどん成長も加速し、もう「幼児無料」ではありません。「子ども料金」を取られるし、これからは習い事なども必要で、何かとお金もかかってくるようになってきました。

四十前の自分の年齢を考えると、いまのタイミングを逃したら、怖くてチャレンジなどできなくなるだろう。

だから、今しかない。

奥さんの同意の元で、まず8年間働いたホテルの仕事も辞めました。料理長や支配人にもずいぶんと引き留められましたが、山田さんの固い決意は変わりませんでした。

スポンサーリンク

立地選定と追加融資

まずは、店舗の立地選定です。

前職のホテル近辺では色々と”しがらみ”があるため、できるだけ商圏が被らないような立地で、自分の希望に合ったエリアを探します。

自分の理想や人口、年齢層、客層、様々な視点で考えた結果、自分の最も得意な中華料理をメインとしたお店で、自分の住まいからは車で20分程度で通えるエリアに絞り込むことができました。

ひとたびエリアさえ決まってしまえば、後は早いものです。

地代が高い駅前は避け、駅からは20分程度までなら離れてもOK。不動産屋で希望のエリアと他の諸条件を伝えると、1ヶ月もしないうちに、予算内で良さげな物件が見つかりました。

申し込みをしつつ、同時に設備や仕入先の手配。

店に必要な設備関係は、サラリーマン時代のコネクションがあるのでとくに難しくありません。開店費用が比較的割安に済むように、中古の備品なども利用しました。

また、手持ちの1,000万円でも飲食を開業するには十分とは言えなかったため、知り合いから紹介してもらった税理士にも連絡を取り、融資の段取りをしてもらいます。

前職までの勤務経験が効いたのか、結果、すんなりと500万円の融資もおりました。

また、店のコンセプトは”中華系”ですでに決まっていて、長年夢を温めていた山田さんだけあって、メニュー候補もすでに完成しています。

あとはそのメニュー候補の中から、店のコンセプトと合わせた最終決定を待つのみです。

オープンまでのワクワクした準備期間

それから2か月後。

気が付けば、手元の資金は700万円となっています。当初資金として自己資金の1,000万円と融資の500万円の合計が1,500万円。

しかしながら、退職してからの生活費は考慮に入れていなかったようで、経費や生活費にと「あっという間」に800万円が無くなっていました。

【800万円の内訳】

  • 前家賃と敷金:150万円
  • 設備と内装工事:500万円
  • 最初の食料仕入(現金):50万円
  • HPや採用、チラシ、消耗品の購入等:50万円
  • 生活費(退職~開業までの2か月分):50万円

それでも、ネットや仲間の話を聞くに、「そのくらいはかかる」ということなので、特に心配はしていません。

お店の内装費は思っていたよりも高くつきましたが、自分好きなテイストと”お客さんに喜んでもらう”というコンセプトを融合させ、中華料理屋としては珍しく木材を生かしてのどこか和風な、照明は薄暗い隠れ家的でオリジナリティのある雰囲気に仕上がりました。

男性が大好きなラーメンを、おしゃれな雰囲気の店構えにすることで、男女ともに入りやすい店舗イメージにこだわったのです。

きちんとお店が軌道に乗りさえすれば、800万円ぐらいなら2~3年で取り返せてしまうはずです。元気の良い若いバイトも3人集めることができて、みっちりしごいています。

サラリーマンの時と独立した後では、こんなに気持ちが違うものかと驚きながら充実した日々を過ごしました。

スポンサーリンク

オープン直後の好調と幸せな船出

そして、さらに半月が経ちました。

最終準備も整い、いよいよ念願のオープンの日を迎えました。最初の一週間は、知り合いにも声をかけていたため、あいさつ代わりに友人・知人が次々と訪問してくれます。

彼らは粗利の高い酒類などもジャンジャン注文してくれて、料理の味・店の雰囲気にもとても楽しんでくれたようです。

また、仕入れ先などの業者さんなども積極的に顔を出してくれて、お店は1週間の間、夜の書き入れ時にはほぼ満席状態が続きました。

毎日の現金売上は、翌朝に新しく作った銀行口座に基本、全額入金します。すると、よく分からないうちに口座に、みるみるお金が貯まっていきました。

かつて居酒屋の店長を任されていた時には、

「売上を上げろ!」

という社長の指示が他人事のように思えていたのに、いまはこの売上が、経費を除けば全て自分のお金になると思うと、なんだか不思議な気持ちです。

今まで自分は、「会社に搾取されていたんだ」と今まで考えたことがないことを実感したりもします。

「頑張れば頑張るだけ、稼ぎになる」わけですから、これからは、独立してバリバリ稼いでやるぞという思いにますます磨きがかかります。

また、独立を応援してくれた奥さんに感謝の気持ちを込めて、普段は買わない金のネックレスをプレゼントとして奮発して帰りました。

普段プレゼントをあげることに慣れていない山田さんなので、厳密には”金”は奥様の好みではなかったはずです。にもかかわらず、奥さんはずいぶんと大げさに喜んでくれました。

一方で2人の娘達は、「私たちのは?」と不満そうです。

なので、今度は2人にもプレゼントを買って帰ることを約束させられました。みんな笑顔で、幸福なひと時です。

ああ、独立してよかったと心底思ったものです。

オープン1週間の充実感

オープン後1週間を過ぎると、忙しさは少し落ち着いてきました。

それでもお客様が途切れることは少なく、いつもそこそこ入ってきます。新しい店がオープンしたということで、”味見のために”訪問してくれているようです。

一方で、中にはリピーターらしき人も増えてきています。このまま”常連さん”にでもなってくれれば、ますます経営としても安定しそうです。

ちょうど1ヶ月経過した時点で、毎日売り上げを入金していた通帳を確認してみると、お金が約200万円分増えていました。

これが、オープン初月の売り上げです。

ここから、家賃15万円・仕入60万円・人件費40万円(バイト3人)・水道光熱費10万円・借金の返済10万円・雑費5万円を差し引いても、60万円も残ることになります。

年間にすれば、720万円

しかもこの金額は、サラリーマンの時とは違って額面ではなく手取り金額です。実質手取りベースでは、サラリーマンの給与額面の1.5倍くらいの感覚といったところでしょうか。

こんなにうまくいくなら、何故もっと早く独立しなかったのかと、後悔すらしました。

また、自分の気分が良いせいか、奥さんも何だか機嫌がよさそうに見えます。楽しさいっぱい、夢いっぱい。朝から晩まで忙しいけれど、とても充実した日々が続いていたのです。

【続く】

関連 飲食店オープンから倒産までのよくあるかもしれない話②
 ※あくまでも架空のお話ですが、一部、実際の内容に基づいて構成しています。

スポンサーリンク
おすすめ記事と広告

おすすめ記事と広告

シェアする

フォローする