「税理士紹介会社の話(=税理士への顧問先紹介会社)の話③」
さらに前回の記事の続きです。
「よいサービスかどうか」はひとまず置いておくとして、はっきり言って私は、この税理士紹介会社(サイト)というものを、あまり好ましく思っていません。
それに、きちんと頑張れば、今でも潜在顧客はいるのに、紹介会社に頼らないとやっていけないと思ってしまう税理士にもがっかりしています。
税理士業はストック商売とはいえ、年間顧問料の半分以上を持っていくというとんでもない価格設定を許しているわけです。
要するに、「税理士は営業ができない」と、”なめられている”のです。
税理士紹介サイトは独立直後なら有益?
偉そうなことを書いていますが、独立直後はわたしも、税理士(お客様)紹介会社を何回か利用したことがあります。
当時は何かと資金が不足していました。そのため、毎月の固定費が負担となる「毎月定額型」ではなく、基本的には「成功報酬型」しか使ったことがありません。
そして独立直後に融資で引っ張った大事なお金を、それなりの額、紹介会社には支払っています。
それなのに『お客様の要求がおかしい』案件や、『資料が出てこない(資料・証憑が無ければ、会計データは作れません!)』などがあり、
こちらからさっさと見切りをつけ、解約返金したものもあったため、今も顧問先として残っているのは10件のうち半分の5件です。
私の税理士業は、完全に売上ゼロからスタートしたわけではないのですが、それでも毎月の生活費には到底足りない状態でした。
とにかく仕事(お客様)が欲しい税理士
「時間はあるけど金はない。」
その当時は、とにかくどんな手を使ってでも、何でもいいから早く仕事が欲しかったのです。
税理士紹介会社経由で、たまたま相性の良いお客様が5件残りましたが、これはかなり運の良い方だと感じています。
そのうち、自分の税理士業が何とか軌道に乗ってきて、その後割の悪い紹介会社とは疎遠になりました。
もし、軌道に乗っていなかったら、利用し続けていたか…は、分かりません。
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紹介会社経由の案件の特徴
私がきちんと利用したのは「成功報酬型」だけなのでその案件の特徴ということになるのだとは思いますが。
① とにかく価格に対する要求が強いお客様が多い。
→お客様に記入してもらったヒアリングシートの内容がそのままメールで流れてきますが、『インターネットの最安値しか見ていないだろう』という予算が非常に多いです。
月5,000円のみでフルサービスなんて絶対に受けませんよ。頻繁に質問や要望を訴えてくるお客様なら、きっと大赤字になってしまいます。
そもそも、税理士側が高額な紹介料を取られていることも知らないのかも。
② 紹介会社のセールストークに問題があるのかも?
→アポイント取り付けを優先するためなのか、紹介会社の営業さんの説明に過不足がありそうです。
事前の営業さんとのミーティングで、『この条件ではやれない』と伝えていても、
「そうですよね~。私からも説明しておきますから。」
と言いながら、お客様には全く話が伝わっていないことも多かったです。
③ 税理士を変えることに抵抗のないお客様が多い。
→①にもつながります。
価格を最優先に考える方は、他に安いところやキャンペーンを見つけて、サービスの内容を比較することなしに、『毎回のように価格交渉』を仕掛けてきたり、ぷいっと乗り換えたりします。
これはやめて欲しい。
お互いの信頼関係も何もあったものではありません。単純に価格のみ。「税理士なんて、安けりゃ、誰でもいいんだ」なんて思っているんでしょうね。
こういったニオイを感じたら、私は案件ごと流すことにしています。
お金に困っていながらも、歯を食いしばって顧問料の条件を譲らなかった点は、当時の自分を褒めてあげたいです。
私自身、大事に思えないお客様と付き合うのは、お客様にも失礼でしょう。
やっぱり大事なお客様のために、知恵を絞る方が楽しいですよね。
税理士紹介会社と付き合っていく前に
このように、私自身は税理士紹介会社のことは好ましく思っていませんが、これは(利用した)顧客としての視点です。
もし、インターネットを駆使した税理士事務所が、その最終形態として『紹介会社も運営する』ということになれば、これはビジネスとしては”美味しい”でしょうね。
優良顧客は自分で持って行って、残りは他のお客さんが喉から手が出るほど欲しがっているような税理士事務所に紹介サイト経由でお金を取って流す。
このような考え方は、お客様側からすれば抵抗があるかもしれませんが、税理士業も商売です。優良顧客がいれば、すぐに文句ばかりつけてくる不良顧客も存在します。
やっぱり商売は仕掛け人になった方がおいしいです。
税理士も税理士を探している方も、紹介会社を使うことも”使い方次第”なのかもしれませんが、事前にこの程度のことは頭に入れておいた方が良いことでしょう。