「税理士の顧問料はどうやって決まるのか?③」
シリーズの最終回です。税理士報酬の価格要素3つである①顧問料②記帳代行等の定期的なオプション③イレギュラーなオプション。
今回は3番目の『イレギュラーなオプション』を安くするにはどうしたらよいのかについてみていきましょう。
イレギュラーなオプションを安くするには?
・税理士(事務所)のスタンスを探る
イレギュラーなオプションの場合は、そもそも依頼を税理士が受けてくれるか分かりません。それに受けても、お金を取るのかどうかも税理士事務所によりそれぞれです。
例えば、私の事務所では「融資の段取り」をしてあげても、お金は取りません。まったくの無料です。その代わり銀行に提出する書類について、精緻な添削などは行いません。
なぜなら、それでも十分に融資を通せると思っているからです。
一方で、それらを細大漏らさず”コーディネート”する成功報酬として、融資額の最大15%も持っていくコンサルティング業者を見たことがあります。
1,000万円の融資に成功したら150万円も手数料として持っていくんですよ!
このコンサルのケースは正直”ぼったくり”だと思っていますが、税理士業に付帯するイレギュラーオプションは、一般的な適正価格を見積もるのは難しいため、事務所によりサービス内容と費用のバランスに大きな違いがみられるのが特徴です。
なので契約の段階で、自分が希望するイレギュラーなオプションには、どんなものがあってそれはいくらなのか、または他の事務所ではいくらなのかなどを、事前に確認しておくしかないのです。
・日頃から信頼できる専門業者を探しておく
前回までの記事では、イレギュラーなオプションの例として、税務調査や融資、各種契約書作成や交渉事、研修やコンサルティングなどを挙げました。
これらの中で、税務調査や融資は税理士がやるのが自然・一般的だとしても、その他の部分は税理士がやらないといけないわけでもないし、なにより、得意かどうかも分かりません。
となれば、税理士を探したように、それらの専門家は自分で探してくる方が良いでしょう。
税理士がよそに外注したら、その分高くなります。それを自分で直接良い業者を見つけてしまえば、税理士に頼むより遥かにコスパは良くなりますよね。
もちろん税理士が中間マージンを取らずに紹介してくれることもあります。
・税理士と仲良くする
税理士と仲良くなっておくのも重要です。
税理士もやはり人間なので、規定上は有料の事でも、自分の裁量がある個人事務所の税理士などの場合では、タダでやってあげることもあります。
例えば、ひな形を使った簡単な契約書作成や、契約書のチェックなどはとても簡単です。そのため税理士としても「費用はいらないですよー」と大した負担なしに、お客様に”よいサービス”をアピールするチャンスにもなるのです。
その結果、「あそこの税理士先生は、サービスがいい」なんて周りに口コミで広がることを期待しないこともありません。
私がサラリーマン税理士(勤務税理士)であった時代に、とても気が合うお客様がいました。その会社で働いていた経理の方に、無料で簿記の講師をかって出て、日商簿記の3級を取得してもらったことがあります。
もちろん、それは私にもメリットのあることではありました。
というのも、その会社は規模がとても大きく、私が所属していた事務所が当時受けていた記帳代行作業が非常に大変だったのです。
そこで私は、そこに未経験の経理の方が入社した際に、その方に早く経理として独り立ちしてもらう戦略を立てました。事務所的にはその分のオプション収入は減ることにはなりますが、私はその記帳代行作業から一刻も早く逃れたかったのです。
とはいえ、仲の良いお客様でなければ、無償で教えるなんて手間のかかることは考えもしなかったことでしょう。
ともに、末永く良い関係を続けていきたいと思えたからこそ、行った提案でした。
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まとめ
どんな商売でも同じですが、価格交渉は税理士にも嫌がられます。
大規模な税理士事務所の場合、「画一的な価格体系とサービス」にならざるを得ません。
一方の小規模な税理士事務所では、「価格は税理士の価値そのもの」ですから値下げ交渉は、税理士のプライドが傷つくのです。
もちろん、私も価格交渉されると嫌な気分になります。そもそも「これは自分でやるから、その分安くして!」という方でも、その内容を一定基準のクオリティで仕上げられる人は、実はそう多くありません。
そうなると、結局そのしわ寄せは税理士が被ることになるんですよね。
これは税理士業界の”あるある”話ですが、その辺にも注意して、現在の顧問料が妥当かどうかをちゃんと考えた上で、交渉なり、見直しを行ってみてはいかがでしょうか。