「本当にお金が払えなくなってしまったら…②」
前回は、資金繰りに困った場合、どこかから借りてくるか破産するかだけが選択肢ではなく、「リスケ」というものがあることを伝えました。
今回はリスケの具体的な流れについて確認します。
リスケの流れとデメリット
ブラックリストに載る
当たり前のことですが、「リスケ」を行っても、借金を(当初の)予定通りに返済できなかったということになるため、ブラックリストに載ります。
これはリスケを行う上でのデメリットです。
少なくとも当初の返済条件に戻せるまで、長い場合には戻してからも、まだしばらくは新規の融資はできないと思ってください。
ということで、リスケはやらずに済むならその方がいいわけです。
まず税理士と相談
リスケを検討するほど資金繰りや生活費に困っている状態であれば、税理士も業績が悪いことは十分承知しています。
普通の税理士であれば、資金がショートするよりも前の段階で、何らかの警告があったのではないでしょうか。この警告がまったくない場合には、それは税理士の怠慢かもしれません。
(顧問料をケチって、年に1度しか会談がない等のプランであることも考えられます。)
具体的な対策としては、
経費の削減や生活費の方を切り詰めたり、子供の教育資金が心配なのであれば、高校生以上の学生なら奨学金を検討するなどの選択肢を話し合ってください。
よく調べてみた結果、たまに保険の解約返戻金などで埋蔵金が見つかる事もあります。現状での最善策を練ることを行わずに、ただアタフタすることは、はっきり言って無駄です。
まずは現状把握から、最適なマネープランを検討しましょう。
銀行に連絡
税理士と相談した上で、やはり「リスケ」しかないという結論でなれば、次には銀行(金融機関)に連絡します。
複数の銀行を利用している場合には、メインバンクでOKです。決算書や試算表などの資料を提出し、条件をどのように変えたいかを交渉します。
何か不安な点があれば、税理士に頼んで同席してもらうのもアリかもしれません。
ここからは、力勝負です。
どうせ信用情報にキズがつくわけですから、目いっぱい要求しましょう。私はリスケ案件があると、基本的に「元本部分の全額支払停止」で押しています。
おそらく銀行側は、少しでも元本が減らす計画を求めてきますが、こちらはものすごくお金に困っている状態です。
支出を1円でも少なくし、完全に事業の立て直しが必要なことをアピールしないと、『本当の終わり』のタイミングが早まります。
下手に譲歩し中途半端な元本返済によって、資金繰りに苦しむよりも、とにかく事業がまた軌道にさえ乗れば、元本返済も再開することができます。
とにかく強気で交渉するのが得策です。
半年ごとに見直し
うまくリスケが通った場合には、一般的に条件は半年ごとの見直しになります。
業績が立ち直ってくると、「元本を少しでも払え!」という圧力が強まりますが、それはその時の成績を見て考えればよい話。
資金的に最悪の時を脱出しているのであれば、少しずつでも返済を再開することもできることでしょう。
事業はとにかく「生き残ること」が最優先
以上、リスケについてのお話でした。
当然のことですが、事業は生き残ることが最優先。
雇われ社長の大企業と異なり、多くの個人事業や零細中小企業については、事業主には人生がかかっていることがほとんどです。
その事業がうまく行かない可能性、つまりは最悪の事態を想定するというのは気が重いと思いますが、そういうときの知識・対処法に対してまったくの無知であれば、いざそのような場面に直面した時に、足元をすくわれて死期を早めることになりかねません。
トラブルやクレーム対応と同じことで、後手に回れば回るほど、傷口を悪化させ致命傷にもなりかねないのです。言いにくいことほど、早めに担当税理士に相談するようにしましょう。
たとえ今はどん底であったとしても、見事に返り咲くために。