「現金商売の落とし穴」
いまさらですが、「現金商売」をご存知でしょうか?
簡単に説明すると、
「一般消費者向けで、日々の売上が現金で回収できる商売」
のことですね。
らーめん屋や蕎麦屋といったお客さん(一般消費者)がその場で現金で支払ってくれる飲食店や、ドラッグストアーやアパレル店舗など、各種小売店もこれに該当しますね。
最強なはずの現金商売の落とし穴(デメリット)
この現金商売を代表する飲食店や小売店ですが、これらが『ショッピングセンター内の店舗』である場合は、少々事情が異なります。
一見、現金商売のように見えても実は、一旦ショッピングセンターの本部が売上金を回収し、後日家賃などを引いた金額が振り込まれる、という流れがあったりするからです。
なでこちらは、現金商売とは言えません。
現金商売の最大のメリットは、何と言っても「回収が早い」こと。
他の商売だと、6月に仕事した分は当月末に締めて請求書を発行し、支払期日を翌月の7月末日に設定するなんてことは普通です。
これの場合、売り上げ(請求)から入金まで1ヶ月以上かかります。
建設業なんかだと、大規模な案件では着手から回収までに、1ヶ月どころか、数か月かかることすらあります。これはさすがに長いですよね。
その間、従業員に対する給与などの支払いは先に発生するわけですから、資金繰りはかなり厳しくなります。その点、現金商売では、回収を待つストレスはゼロとなります。
現金商売のデメリット
そんな資金繰りの面で最強と思われる現金商売ですが、逆に、だからこそ陥りやすい落とし穴というか、デメリットがあります。
それは現金商売では、
「業績を読み誤るかもしれない」恐れがある点です。
例えば、あるラーメン店を想像してみてみましょう。
事業の収支・成績を測るためには、本来であれば収益である売上に対して、費用である仕入や給与は同じ期間で対応すべきものです。
よって6月分として仕入れた代金も、その月の売上から支払うことができます。
でも現金商売では、売上は日々入ってくるのに対し、仕入や給与の支払いは翌月末(つまり7月末)だったりします。
ここでは、何が問題なのかわかりますか?
そう、事業の成績(儲かっているかどうか)を測るために対応すべき、『売上げと費用がひと月分ズレ』てしまっているんですね。
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業績把握のために、かんたんな仕組みづくり
もちろん、会計データの作成し、担当税理士などからそのズレを修正した上での適切な説明があったりして、きちんと毎月の成績を把握しているなら問題ありません。
でも、手元のお金が回っていることに焦点をあて、その根拠にしてしまうと、「儲かっている」と勘違いしたり、または「じつは儲かっていない」に気付くのが遅れることになります。
また個人商店のような方が、生活費をレジのつり銭から何も考えずに持ち出していたりすると、もうお手上げ、というかほとんどアウトです。
いつも手元にお金が無いと感じていても、それが商売が儲かっていないせいなのか、それとも生活費を使い過ぎなのか、つまりはいったい何が原因なのか、よく分からなくなります。
というわけで、現金商売は資金繰り的には一番楽ですが、商売が儲かっているかどうかの判断が鈍るデメリットがあるので、日々の業績をきちんと把握できる仕組みを作ることをおすすめします。
方法としては、たとえば以下の3つのようなものがあります。
①売上は毎日全額を通帳に移す(=売上と経費や生活費を分ける)
②経費用現金の引出時期を決める(1週間に1回など)
③売上と経費のリストを作る(簡易的なものでもOK)
こんな簡単なことをするだけでも、毎月の売上と経費の対応がしやすくなり、かなり頭がスッキリするはずですよ。
もちろん業績が悪い場合でも、「あー知りたくなったー」というような、嫌な情報もハッキリしてしまうわけですが、正確な現状把握は、業績改善の第一歩なのです。