「冠婚葬祭の経費について」
先日、親族でもあり、お客様でもある方の結婚式に出席してきました。
人生の晴れ舞台である結婚式というのは、いいものですよね。
皮肉な意味ではありませんが、幸せな部分だけを凝縮しているし、列席者も祝福する気持ちしかないように見えました。
なにより自分が結婚した後だと、”変なプレッシャー”も無いためか、当時の自分の事を幸せな気持ちで思い出すことができます。
さて以前に、「領収書の出ない経費はどうすればよいのか?」という記事を書きました。
今回は、その時軽く触れた冠婚葬祭に関わる交際費について、もう少し掘り下げてみましょう。(具体的な経費化の手順については、以下の記事の「②冠婚葬祭」をご参照ください。)
冠婚葬祭が経費でOKな人と金額はいくらまで?
祝儀、不祝儀(葬式)に関わらず、その場面での気持ちはともかく、その支払った支出が経費になるのかならないのかという点は、日頃から「出来るだけ税金を減らしたい!」と思っている自営業者なら、やはり気になるところです。
慶弔費が経費になるか否かの出発点は、あくまでも「仕事に関係あるかどうか」が基本です。
従って、取引先の社長や担当者が結婚した、あるいは亡くなった場合に包んだ金銭は当然経費となりますが、ではその家族の場合だったとすると、なかなか判断が難しくなってくるのではないでしょうか。
あるいは、それが自分の身内だったりしたら?
また、その時の金額はいくらまでならOKなのか?
これらに対して明確な答えがあればよいのですが、残念ながらそんなものはありません。
仕事に関係があって、社会通念上相当と認められる金額であること、これだけが税法や通達から読み取れるヒントです。
「社会通念上相当と認められる」は、法律を勉強しているとよく出てくるフレーズですが、ある意味非常にいい加減な、役所にとって大変使い勝手の良い言い回しだと思っています。
事実上、何も答えていない状態で、役所の権限だけを確保しているわけですから。
この言い回しを簡単な言葉にするなら、「常識的な範囲で」程度のニュアンスと考えてよいでしょう。
よって、自分が『仕事に関係性がある』ことを説明できるのであれば、『このくらいは包まないと失礼だ』と考える金額で基本は問題がないはず、ということになります。
慶弔規定を作って、信憑性・客観性を高めましょう
それでも、関係性が少し遠い場合や、身内で客観的な判断が難しい場合はどうしたらよいでしょうか。
自分としては仕事に関係ある経費だと思えるけれど、「うまく説明できるか不安があるな…」という方は、この際ですから慶弔規定を作ってしまいましょう。
社外、社内にかかわらず、どのような関係の場合、どういった家族まで、いくらまで包むことを認めるか、あらかじめ決めておくのです。
そして、ここで重要なのは、「社内規定は、一律に運用されている必要がある」ということ。
従業員は使えずに、社長だけにしか適用できない慶弔規定があったとしたら…
それは職権乱用というものですよ。
それから、従業員にあげても良いと考える金額というのは、要するに「常識の範囲内」であるということ。
役職に応じて多少、金額の増減があるのはおかしくないので、その範囲と金額は先に決めておいて、事前に社内で周知しておきましょう。
そして、社長の分を経費にしたいなら、従業員にも一律に適用してあげてください。
実際に従業員にも支給した実績まであれば最高です。
これなら、まず税務署は突っ込めないことでしょう。この理屈は、その他の福利厚生費にも応用できますが、こちらの話はまた後日にしたいと思います。