「怪しい」物件に手を出した税理士の話

怪しい不動産物件
「台風の季節に思い出す怪しい物件にまつわる話①」

今年も夏が終わり、そろそろ台風も日本列島まで到達しなくなる頃となりした。

今回は、”台風“にまつわる私の鉄板ネタを。

※鉄板ネタとは、絶対に笑えたり盛り上がる、滑らないお話のことです。

これは数年前の事ですが、私は「怪しげな不動産」を購入しました。

この物件は、擁壁(隣地と高低差がある際に設けるコンクリート塀のようなもの)に亀裂あり、地盤沈下あり、建物に傾きあり、という見事に逆三拍子が揃った築古の一棟アパートだったのです。

でも、これら悪条件のせいか、主要駅から近いのにも関わらず、バカバカ安物件だったため、つい、手を出してしまったのが失敗の始まりでした…

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実質利回り16%の不動産の理由?

ちょうどこの頃には、私も不動産ビジネスに慣れてきたと感じていて、ちょっと調子に乗っていた時期だったのでしょう。

さらに金融機関の融資枠もまだ余裕があることが分かっていたため、ついこんなものを買ってしまったのです。

仕入れ値(取得価格)の安さの割には、部屋は満室であったため、実質利回り16%という驚くべき良い家賃収入が当初より見込めた物件でした。

なので私は、

「この家賃収入を2~3年頂き、その資金を元手に取り壊して更地で売るか、次のアパートでも建てれば、どちらにしてもものすごく儲かるぞ!」

なんて、虎のタヌキの皮算用状態。

そのアパートが満室状態であった理由は、なんだかんだで外国人生活保護(←他意はありませんよ!)の方が住んでいたからでした。

さらにこの物件は駅から近く、部屋はそこそこの広さなのに、やけに格安。

日頃よりビジネスチャンスを伺ってアンテナを張っている私が、こんな案件に興味を持たないわけがありません。

ある穏やかな日に、突然届いた一通の「内容証明」

ところで、賃貸オーナーにとって「生活保護の方」は優良顧客になり得ます。というのも、市町村が賃料を直接振り込んでくれるので、”取りっぱぐれがない“ためです。

(市町村が補助する毎月の金額には上限があるため、通常、高い家賃設定となる「新しい物件」では予算が合いませんけれど。)

とにかく、この物件は数年は「賃貸で回そう」と考えていました。そんなある日、購入してからはまだ約2か月後のことでした。問題は向こうから、青天の霹靂でやってきました。

突然に隣地の地主から、内容証明が届いたのです。

“内容証明”というのは、郵便の種類でもありますが、ここでいう意味は「裁判の前段階」としての内容証明のことを意味しています。

もっと分かりやすく説明すれば、

なんと隣地の地主が、

「お宅の物件は、うちにとっても危ないからどうにかしろ!しないと裁判だぞ!」

と突然言ってきたんです。

じつは内容証明それ自体には、法的拘束力はありません。

ただ、弁護士にお金を払ってでもその手続きをすることで、「裁判に対して本気だぞ!」という威嚇の姿勢を見せるためのものです。

(内容証明はちょっと調べれば自分でやることもできます。)

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突然の内容証明は、いきなりの宣戦布告

それで、私はどうしたのか。

「税理士は法律に詳しいんだから、うまく処理したんでしょ」って思いましたか?

いいえ。

私は実はまず、この内容証明に参りました。内容証明というのは、あちらの言い分が、強い表現でびっしりと、ひたすら書いてあります。

税理士としてお客様が抱えるトラブルとして「内容証明」を見たことはあったものの、実際に自分が当事者になると、こんなに精神的に堪えるものだとはまったく思っていませんでした。

(文章表現としては)丁寧な文章に関わらず、要約するとこんな風に言われたように感じました。

「自分は悪くない、お前が一方的に悪い。お前は人でなしだ!ばかやろう!金払え!」

その後、その地主さんとも連絡を取りましたが、まったく取り付く島もありません。

それに相手は資産家の方で、不動産業者から弁護士まで、しっかりした専門家で連携した「チーム」があることも分かりました。

これでは、中途半端に対応しても、勝てるとも思えません。

また、他の仕事も多忙を極める中なので、じっくりこの問題だけに取り組んでいればよいわけでもありません。

今思えば、私が税理士ではなく、普通のサラリーマンだったら、もしかしてメンタルがやられていたかもしれません。

【つづく】

関連 「怪しい」物件に手を出した税理士の話②