税務調査の話②
前回の続き。
「税務調査って、突然来るものなんですか!?」
税務調査をむやみに恐れている社長も多いですが、
映画の一場面のように、いきなり強面の捜査員がオフィスになだれ込んできて、「動くな!」なぁんて税務調査は、まずありません。
実際の税務調査は、ごく普通の事務仕事のように淡々としたものなんです。
税務調査のリアルと裏側のお話
それでは税務調査はどんな感じでやってくるのでしょうか?
税理士を雇っている場合
(税理士が提出した会社の申告書に、担当税理士の住所氏名、連絡先が記載)
② 担当税理士が、お客様と税務署からの調査日のアポを調整
あなたの会社が税理士を雇っていなければ、会社に直接税務署から税務調査の連絡が来ることになります。
また、「現金商売」であったり、「脱税をしている証拠」を握っていたりと、証拠隠滅の可能性が高いと思われたケースでは、アポなしで突然来ることもあります。
そんな場合には、税理士を雇っている場合には、とりあえず事務所には入れずに、「税理士が来るまで待ってください」と主張しておくのが良いでしょう。
税務調査も法律論になりますから、社長が単独で対処して良いことはありません。せっかくこの日のために税理士がいるのですから、まずは税理士に連絡しましょう。
税務調査の権限は、法律で認められたものです。
なので、それを理由なく回避することは法律違反になりますが、税理士が来るまで待たせることは正当な権利の範囲内です。
(参考)国税通則法128条
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
二 税務職員の質問検査権の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
「税務調査のスケジュールは?」
一般的に税務調査は、2日間で行われます。
だいたい、平日の午前10時から16時までの6時間。でも調査官は、その間にお昼休憩を1時間取るので、2日で計10時間が実際の調査時間となります。
必ずこのスケジュールでなければならないのではなく、忙しい社長のスケジュールなどに合わせてくれます。連続でも、トビトビでも事前に(税務)調査官に伝えておけば、日程を考慮してくれるのです。
調査の内容次第では、3日目を要求されることもあります。この間に税務署の人は一生懸命資料を確認し、間違いがないかを確認するのです。
一方で、その間の社長(納税者)や税理士は資料の準備をしたり、調査官からの質問に対して説明をしたりしています。
社長はその2日間、絶対にまるまるスケジュールを空けないといけないわけではありません。
仕事があれば、外出することも全く問題なし。ただ、1日目の午前と2日目の午後は、社長と直接話すことを求められることが多くなります。
調査官に対する質問や疑問に対し、説明を完全に任せられる経理担当者などがいれば、その方に丸投げすることは不可能ではありません。
税務調査の調査官は、弁当を食べない!?
税務調査に入る税務署の職員の人数は、通常1名です。
新人研修を兼ねるような場合には、新人と先輩の二人で来ることもありますが、その場合も実際の調査は実質1名で行うことが多いです。
昔は、それなりの期間研修があったようですが、私がこの会計業界に入った10年前以降くらいからは、新人研修の先輩との同行は1~2回ぐらいなもので、あとは1人で放り出されているようですね。
「人手不足」というか、あるいは「予算不足」なんでしょうか。
調査官も大変そう・・・
新人の20代の若者が、百戦錬磨の自営業の社長のところに1人で調査なんて、正直気の毒な話ですよね。
昭和の時代なら社長が気を利かせて(?)、調査官のため昼食に出前を取ることもあったようですが、最近は賄賂だと疑われるのが問題なのか、徹底的に制限されているようです。
マニュアルみたいなのがあるのかもしれませんね。
ペットボトルのお茶くらいまでは手を付けるんですが、お金のかかってそうな豪華な飲食物には、まったく手を付けてません。
それでもたまに、場の流れというか事情があって税務署の方がそういった食事などに手を付けるときは、実際に自腹で支払っていたりしていますね。
そしてその証拠にと、領収書を発行することを求められたりします。
なので弁当などは、準備しない方が無難ですね。
「多少なりとも、手心を加えてもらえるように…」なぁんて期待して、せっかく美味しそうなお弁当を用意しても、まったく手を付けてくれないでしょうから。
…ええっと、何の話をしていたんでしたっけ。