税務調査の話④
税務調査シリーズの前回では、税務調査でチェックされる典型的な項目についてのお話でした。
今回はチェックされた後のその結果、どうなるのでしょうか?
Contents
税務調査による追加納付と罰金の種類
①「追加の納税」が発生しない場合
本当にノーミスの場合、是認通知という「税務調査でまったく問題はありませんでした」というお墨付きがもらえます。
これをもらうと、次の税務調査まで間が空くという都市伝説的な「ウワサ」があるんですね。
残念ながら私のお客様の案件では、まだお目にかかったことはありません。ところで、ミスが少量で少額の場合、口頭注意で終わることも多かったりします。
数百円、数千円程度のミスを修正させるのは、税務署としてもあんまり意味がないことなんでしょうね。なんていったって、もっと多くの税金をとることが税務署の仕事なわけですから。
② 「追加の納税」が発生する場合
高額、あるいは悪質なミスがあって、税務署に指摘されてしまった場合には、追加で納税する必要があります。
ミスの種類にもよりますが、基本的には「修正申告」という決算書のやり直しを求められます。この修正申告では、ミスから発生する追加税金はもちろんのこと、さらに「罰金的な税金」も課されることになります。
ペナルティーがないと、「見つかったら支払えばいい」なぁんて考えから脱税し放題になることでしょうから、仕方のないことですね。
そして、そんな罰金の中でも、「重加算税(※)」を課された場合には、税務署内で非常に悪い記録が残ります。その結果、この会社にはまたすぐに税務調査が入りやすくなるという、これも都市伝説的な「ウワサ」があります。
※重加算税については後述。
さてそれでは、そんな「罰金的な税金」にはどんなものがあるのでしょうか?
税金の種類は色々がありますが、罰金的な税金も同様です。その税率や発生条件も、それぞれに違っているのです。
そんな罰金の種類について、以下でみてみましょう。
過少申告加算税
まず過少申告加算税から。
『期限内に申告はしたが、ミスがあって追加税額が発生した場合』
に課される税金です。
税額は、追加納付する本税の10%。
ただし、追加で納めることとなった税額が、当初の申告納税した金額と50万円のいずれか多い金額を超えている場合には、その超えている部分については15%になってしまいます。
なお、自主的に修正申告した場合には、過少申告加算税は課税されません。
無申告加算税
次は、無申告加算税について。
こちらは、『期限内に申告しなかった場合』に課さる税金です。
本来納付すべき税金の50万円までは15%、50万円を超える部分の金額については20%となっています。
なお、期限後に自主的に申告した場合には、5%に軽減されます。
不納付加算税
不納付加算税は、
『源泉所得税を期限内に納付しなかった場合』
に課される税金です。
納付すべき税額の10%。
ただし、自主的に納付した場合には、5%に軽減されます。
また、納付期限から遅れること1か月以内には納付を完了して、過去一年以内に期限後納付がない場合には課されません。一応、救済の条件も付いています。
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重加算税
重加算税は、
『事実を仮装隠蔽し申告を行わなかった場合、または仮装に基づいて過少申告を行った場合』
に課される税金です。
要するに、意図的に脱税した場合ですね。
過少申告加算税に代えてこちらを課す場合には、新たに納める税金の35%。
不納付加算税に代えて課す場合、納付すべき税金の35%。無申告加算税に代えて課す場合では、納付すべき税金の40%となっています。
延滞税
最後に延滞税。
これは、『各種税金を法廷納期限までに納付していない場合、その日数の遅れに応じて課される利息的な税金』です。
これには修正申告により発生した追加の税金にも課されます。なお、本税には延滞税がかかりますが、なぜか罰金的に今まで説明してきた税金に対してはかかりません。
利息の計算はちょっとややこしいのですが、法廷納期限から2か月までの期間は「7.3%」または「特例基準割合に1%を加えた割合」のいずれか低い方。
2か月を超える期間については、
「14.6%」または「特例基準割合に7.3%を加えた割合」のいずれか低い方となっています。
特例基準割合というのは、前年の銀行の新規の短期貸し出し約定平均金利に年1%分を加えた割合のこと。
まぁ難しいことはさておき、実際の金利はこんな感じです。
脱税はバレたら大損害
税務署は税務調査でミスや脱税を発見し、合わせてあれこれとペナルティーまで課そうとします。税務署は、税金を取るためのプロフェッショナルなのです。
もちろん、調査官の資質に差はあるものの、彼らの仕事は、いかに多くの税金を取るかにあるため、脱税はバレる可能性が高いと思っておいた方がいいでしょう。
脱税は”バレる”ものだと思えば、これらのペナルティーまで考慮すると、割に合わないものであることは感覚的にご理解いただけるのではないでしょうか。