税務調査の話⑤
シリーズで続いてきた「税務調査の話」の最終回。
今回は、税務調査当日を迎える社長へのアドバイス編です。
税金を取られると人は不満を持つもの
税務調査の結果、税金を取られます。
税金を取られる理由としては、しょうもない単純ミス、お客様と税理士のコミュニケーション不足を原因としたミス、お客様が税理士に隠し事をしていた等々、原因は様々ですけれどね。
税金も前々回で触れた「期ズレ」を指摘されて、一旦は払わされたとしても、現在の期間の税金が安くなると考えれば、実質的には大した損ではないのか、それとも実際に大きなダメージなものなのか。
はたまた、税金は資金繰りにどのくらいの影響を与えるんだろうか。
もし、納められない場合には、分割払いもできます。
でも納税証明書に未納の税金があるという記録は残ってしまいますけれど。その結果として、完納するまでは融資が受けられないという大問題にはなります。
そもそも税理士とコミュニケーション不足な状態で、税務調査が入って税金を取られることになると、たとえそれが少額だったとしても納税者は不満を持つことになります。
「税理士はプロなんだから100点取れて当たり前」だと思う方が多いんですよねぇ。
税務調査での立ち合いでは、日当や修正申告の手数料をいただくことになります。なので、
「なんで税理士のミスで修正をするのに、追加でお金を取られなければいけないんだ!」という気持ちになるのかもしれないですね。
これはちょっと辛いところ。
税務調査で100点を取ることは難しい
ちなみに、本当に税理士のミスであった場合、税務調査や修正申告に対する請求金額を値引きしたり、税理士自身がある程度の追加税金を負担することはあります。
税務調査は突然来るわけではありません。
なので、「この経費は議論になった場合分が悪いだろうなぁ」「事前にチェックした限ら、このくらいのミスが見つかった」場合など、税務調査前に、ある程度論点を事前に詰めるようにはしています。
でも、本当に100点満点を取るというのは正直難しい。
それに、コストをかけて細かい領収書すべてに目を通すことに意義があるとも思えません。バカ丁寧に時間を費やすサービスをモットーに顧問料を上げたら、それはそれで不満になることでしょう。
逆に、高額のトラブルになりえることはこちらも当然把握しています。なので、最初からどのようなリスクがあるかを説明してあります。
ただ、お客様はややこしいことは忘れていることが多いのです。
税理士も自己防衛のため、メールや書面で説明した記録を残すようにしています。
でも、「ちゃんと説明してたでしょ!」だけで簡単に納得してもらえるお客様ばかりではないですからね。
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これから税務調査へのぞむ社長へのアドバイス
最後に、税務調査での社長に基本的なスタンスのアドバイスをお伝えしておきますね!
それは、「聞かれたことに、淡々と事実だけを答える。」こと。
裏をかえせば「聞かれていないこと、余計なことは話さない。」ということでもあります。
また専門用語の使い方で意味が大きく違ってくることもあるので、知ったかぶりなどせずに、税理士と事前に打ち合わせをし「キーワード・NGワード」を確認しておくとよいでしょう。
そういえば税務署の人は、自分達が歓迎されていないということは自覚しています。なので、基本的には丁寧で低姿勢です。
しかしながら、人を見る仕事のプロでもあるので、『ウソを見抜く能力』には秀でています。
税務署の仕事ですから、どんな行動や質問にも必ず意図があります。
穏やかな雰囲気や口調に乗せられ、余計な事をペラペラしゃべると、たいていは良い結果とならないことが多いというのは、覚えておいて損はないでしょう。
決してウソをつけと言っていっていませんよ。
完全にミスをゼロにすることが難しいですが、多少のミスは覚悟した上で、余計な疑いをかけられないよう、のんびり、調査の朝には深呼吸でもして、なるべくゆったりとした気持ちで最小限の反応で税務調査にのぞむ方が、おそらくいい結果となります。
税理士は(少なくとも私は)、こんなことを考えながら税務調査に対応していますね。
時間は取られる、神経を使う、負けたら面目が立たない。
……税理士にとっても、本当は面倒でしかないのが本音です。
以上、THE・税務調査のお話でした。
おわり