適切な経費の額や割合なんて幻想です!
つい先日もお客様から聞かれたのですが、
「うちの決算書のバランスはおかしくないですか?」
「交際費を使いすぎでしょうか。いくらまでならOKですか?」
同業種間において、うちの○○費が多すぎるんではないか、あるいは低すぎるのではないかといった類いの素朴な関心。
こういった質問は本当に多いですねぇ。
あなたの目指すゴールから「経費」は考えればよい
でも…
私の答えは常にこんな感じ。
「社長が本当に必要だと考えていて、かつ、資金繰りの許す範囲であれば、いくら使うのも社長の自由です。」
「だから、適切な額なんてないですよ!」
確かに交際費が1億円!といったらばかげた額のように思えますが、視野を広げてみると、その結果100憶円の利益を得ているのだったら、逆に安いものじゃないですか。
そもそも適正な経費額なんてのを探そうとしても、業種、立場、時代、地域などで全然内容が違います。
そもそも自営業は何のためにやるんですか。
お金のため?
時間のため?
自由のため?
その答えは人それぞれです。
だから何だってよいのですが、おそらく大体のところで共通しているのは、
『サラリーマンとして過ごすよりも、幸せになれると思ったから独立した』
ということではないでしょうか。
スポンサーリンク
本当に必要ならそれは適正経費
事業はあくまでも自分が幸せになるための手段。
その分の利益は出し続ける必要はありますが、その意識さえブレなければ、どんな経費にどれだけ使っていようが自由なのです。
極端に言えば、信念に基づいて10年大赤字を垂れ流し続けたっていいじゃないですか。11年目に大逆転できる可能性があるのであれば。
経費の適正額にばかりこだわり、業界の平均的な数値を完全に再現できたとしても、私のターゲットするような中小企業の場合、スケールの差で大手に負けてジリ貧になる未来しかありません。
ちまちまと個性の無い事業モデルに、個性の無い経費の使い方。
そんな調子で、このままあと10年継続できますか?こんなものが目指すべきものではないことは、ちょっとイメージすればお判りになってもらえると思います。
くどいようですが、経費を使うにあたって「平均」とか「常識」とかそんなことにこだわることは完全にナンセンスです。今日から考えを180度変えてみてください。
ただし、似たような使われ方をする言葉ですが、経費の「相場」には気を付けましょう。
高値掴みは負けの第一歩となります。
例えばネットとかでちょっと事前調査をすれば5万円でまかなえた経費を、適当にそこらで購入したりで10万円も支払っちゃうとか。
どんぶり勘定で、なんでもかんでも無駄遣いをしても大丈夫なわけはありません。
必要な経費を出すことと、無駄遣いはきちんと区別しましょう。
「経費」も第三者からの視点は大事にしなければならない
その他、こんな質問もよくあります。
「こんなに経費を使ったら税務署から目をつけられませんか?」
「銀行に何か突っ込まれませんか?」
「どうしても黒字にしたいので、他に手がなければ交際費を削ってください。(一部の領収書を計上しないで下さい)」
経費の多少に関わる似た感じの質問ですが、こちらはちょっと慎重に考えなければいけません。
なぜなら、これらの質問は税務署や銀行といった、第三者の視点を気にしたものだからです。実はこういった質問が出せる着眼点の方はとても大事です。
税務署や銀行は事業の存続に直結しうる存在です。彼らの考えや行動を理解し、正しく対応することは、結果的に自分の幸せの実現にもろに影響を与えることになります。
なので、こういうところは是非税理士とよく議論して、悔いのないように決算書を仕上げてください。
税理士はあなたの周りの中で彼らの行動原理を最もよく知る存在のはずですから。
(ついでに、あなたの財布の中身までも。だから信頼のできる税理士を選びましょう)